2005年4月20日(水)「しんぶん赤旗」
「つくる会」教科書
検定前に70冊貸与・閲覧
19都府県で 小林議員に文科省
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侵略戦争を美化する「新しい歴史教科書をつくる会」メンバーによる教科書を出版した扶桑社が、規則に反し文部科学省の検定前に地方の教育関係者に申請本を見せていた問題で、同省は十九日、十九都府県で七十冊が貸与・閲覧されていたことを明らかにしました。
参院文教科学委員会で日本共産党の小林みえこ議員の質問にこたえたもの。銭谷真美初等中等教育局長は、四十九冊が貸与、二十一冊が閲覧されており、「貸与のうち五冊が回収されてない」と答弁しました。太平洋戦争を「自存自衛のための戦争」と表現し、アジア諸国への侵略をアジア解放などと美化する扶桑社の歴史教科書は、二〇〇一年に続き今年も検定を合格しました。検定前に、白表紙本と呼ばれる申請段階の教科書を他人に見せた場合、検定規則に違反することになります。文科省は六日の衆院文部科学委員会で、扶桑社の違反を認め、中山成彬文科相も「ルール違反」との考えを示していました。
小林議員は、「ルールを守っていないのに何のペナルティーも科さず検定を合格させるのは問題だ」とのべ、扶桑社の教科書を不合格にするようもとめました。
銭谷局長は、「極めて遺憾だ」としながら、流出があったにもかかわらず、検定は「静ひつな環境のもとおこなわれた」と答えました。