2005年4月20日(木)「しんぶん赤旗」
大企業・高額所得者むけ減税とは?
〈問い〉 日本共産党の第3回中央委員会総会の志位和夫委員長の報告に、大企業・高額所得者むけ減税が5・3兆円にのぼるとありました。怒りがわきます。もう少しその仕組みと内訳を教えてください。(東京・一読者)
〈答え〉 この数字は、1997年度以降04年度までに行われた大企業・高額所得者・大資産家向けの減税について、政府発表の平年度ベースの減税額を合計したものです。これは1年分の数字ですから、減税実施後の年数をかけて、たし合わせた累計額は、25兆円前後になります。
最も大きいのは、法人税・法人住民税・法人事業税(法人3税)の減税です。97年度に37・5%だった法人税率が、98年度には34・5%に、99年度には30%に引き下げられました。
12%だった法人事業税率も、11%、9・6%と引き下げられました。
03年度には、研究開発費の10〜12%相当分を法人税から控除する制度も新設されました。
これらによる大企業への減税は、平年度ベースで3・3兆円にものぼります。
所得税・住民税は、99年に最高税率が引き下げられました。所得税は50%から37%に、住民税は15%から13%になりました。減税額は0・5兆円です。
土地などの資産課税では、地価税の停止(98年)や登録免許税引き下げ(03年)など0・7兆円の減税、相続税の最高税率引下げ(03年)で0・3兆円の減税がされました。
証券投資関係では、有価証券取引税の廃止(99年)、配当所得への減税(03年)などで0・5兆円の減税となっています。
これらによって、たとえばトヨタ自動車1社だけでも法人3税が1300億円もの減税になっています。
日産自動車の役員は一人当たり平均で3800万円もの減税になっています。自社株式を大量保有して巨額の配当を得ているサラ金のアイフルの社長は推計7億円以上、武富士の専務は6億円近い減税です(いずれも1年間の額)。
こうした大企業や高額所得者への行き過ぎた減税を放置しておいて、庶民には大増税をかぶせる―こんな悪政は断じて許せません。(垣)
〔2005・4・20(水)〕