2005年4月23日(土)「しんぶん赤旗」
年金
最低保障で底上げ
小池議員 空洞化解消で提案
社会保障両院合同会議
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年金・社会保障両院合同会議が二十二日、国会内で開かれ、日本共産党の小池晃政策委員長は現行の年金制度のもとで激増する無年金、低年金の実態を示し、「憲法二五条の生存権がないがしろにされている実態をどう打開するのか、責任ある提案が求められる」と提起しました。
小池氏は、年金制度空洞化の深刻な実態を指摘(別項参照)。「無年金・低年金の高齢者の生活をどうするのか、今後無年金者・低年金者が激増する事態の打開が重要な課題だ」と強調し、日本共産党の「最低保障年金制度」に踏み出すことを改めて提案しました。
小池氏は、基礎年金の国庫負担を増やして財源に充てる際に現在の三分の一から二分の一に引き上げたとしても、「少ない年金には少ない国庫負担しか入らない」という問題点を示しました。これを切り替えて、最低保障年金の創設で当面一人月額五万円の国庫負担を「定額」で確保することで「無年金や低年金の方々に国庫負担が重点的に投入され、底上げがはかられる」とのべました。
また小池氏は、最低二十五年加入しないと年金が受け取れないしくみを改め、受給資格が得られる加入期間を欧米並みの十年程度に短縮することを提案。
保険料の徴収強化しか対策のない与党に対し「少しでも保険料を納めれば最低保障額に支払った保険料分が上乗せされることで安心と信頼を回復し、保険料の納付意欲を高めることにつながる」とのべました。
年金空洞化の深刻な実態 無年金・低年金が激増 現在65歳以上で受給権のない無年金者が60万人。60歳未満で受給資格のない「将来の無年金者」が39万人 国民年金保険料未納の拡大 納付率は63.4%。400万人以上(納付義務者の4人に1人)が2年間1度も納付せず(02―03年度)。2年間で1カ月以上未納あり1130万人 厚生年金の空洞化 ピーク時(97年)と03年の比較で、加入事業所は170万→162万(8万事業所減)、被保険者数3347万人→3212万人(135万人減)、保険料収入20.7兆円→19.2兆円(1.5兆円減) リストラによる正社員・給与減少 正社員は5年間で400万人減少、派遣・パートなど非正社員が370万人増。雇用者全体に占める非正社員の割合は90年20.2%→04年31.5%。給与所得者に占める被用者年金加入割合は90年68.1%→02年60.2% 青年の厚生年金加入激減 34歳以下の若者の5人に1人がフリーター、平均年収は106万円の推計も (小池氏の発言から) |
「未納増」発言に反論
最低保障年金で小池氏
二十二日の年金・社会保障両院合同会議で日本共産党の小池晃政策委員長は、十四日の同会議で自民党の津島雄二衆院議員から「最低保障年金のあるイギリスでは保険料を払わなくなり、無年金が増えるといわれている」と発言があったことに反論しました。
小池氏は「イギリスでは公的年金保険料が税と一緒に徴収されるので保険料だけを払わないという事態は起こりにくい。また一定所得水準未満の低所得者は保険料を納めなくてよいので、低所得を理由とする未払いも少ないと考えられる」として、津島氏の批判は当たらないとのべました。