2005年4月24日(日)「しんぶん赤旗」
施設の食費・居住費 保険外に
4割「負担は困難」
お年寄り 行き場なくなる
改悪法案でアンケート
特別養護老人ホーム、老人保健施設などの食費と居住費を保険給付の対象から外し、全額利用者負担にする介護保険改悪法案。福岡、新潟両県内二つの老人保健施設が入所者や、その家族を対象にそれぞれ行ったアンケート調査で、いずれも四割以上が新たな負担は「困難」と答えていることが分かりました。
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食費・居住費が全額自己負担になると、四人部屋などの多床室の場合、住民税課税世帯で月三万円以上の負担増。住民税非課税世帯でも年金収入が年八十万円を超えていれば、月一万五千円程度の負担増になります。
個室の場合、現在、居住費を徴収していない施設では、住民税課税世帯で月七万円以上の負担増になる可能性もあります。
調査は、新潟市の老健施設「おぎの里」と、福岡県大牟田市の同「くろさき苑」と、個別に実施しました。
退所を検討も
おぎの里(百床)では多床室・個室の別、所得別の負担増額を示したうえで「負担は可能か」を問いました。
すると「現在でも負担困難で他の生活費を削ってなんとか負担している」が20・5%。「四床室でも負担困難」(25%)を合わせると、45・5%に上りました。これらの人に「負担できない場合どうするか」を聞くと「退所を検討する」が7・0%。34・9%は「生活費を削ってなんとかする」と答えました。
くろさき苑(百床)では「どのくらいの負担だったら可能か」を尋ねました。すると「これ以上の負担は困難」が44・4%に上りました。「一万円以内なら可能」は25%ですが、年金収入が八十万円を超える住民税非課税世帯の負担増額・一万五千円には耐えられません。
食費・居住費の全額負担についての賛否を問うと、おぎの里では「反対」45・5%、「むしろ負担を軽減すべき」13・6%、「やむを得ないが負担増が大きすぎる」38・6%。「介護保険維持のためやむを得ない」は2・3%でした。くろさき苑では、「反対」89・9%、「やむを得ない」6・9%でした。
改悪をやめて
アンケートをおこなった、おぎの里の星俊和事務長は、「『負担可能』は一割しかおらず、今回の改悪案が実際に入所している方にとって耐えがたいことは明らかです。『施設が足りなくて入所できない人』のほかに、『費用が払えず入所できない人』が広がっていくことが予想されます。こんな改悪はやめるべきです」と訴えます。
くろさき苑の樋口秀勝事務長も、「家族から寄せられた『これ以上高くなると払えない。かといって家ではみられません』という声に象徴されるように、入所している方はさまざまな困難を抱えた方が多い。食費・居住費が全額負担になれば、これらの方々の行き場がなくなってしまう」と語っています。