2005年4月26日(火)「しんぶん赤旗」

東京都議選

日本共産党の前進で、都民いじめの悪政の「推進役」に審判を

志位委員長の訴えから(要旨)


 日本共産党の志位和夫委員長は、この間、東京・豊島区、大田区、文京区、北多摩一区で、都議選(六月二十四日告示・七月三日投票)に向けての演説をおこないました。そのなかから都政問題について語った部分(要旨)を紹介します。


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演説する志位委員長

 (志位委員長は、「東京都議選で、どの政党が議席をのばすかは、東京都民のみなさんにとって大切であるだけでなく、国の政治にも大きな影響をおよぼします。国政と都政での政党の値打ちを見極めて選んでください」ときりだし、はじめに憲法問題、増税問題など国政の問題を解明しました。「『二大政党』とは『オール与党』であることがはっきりしました。いま日本には、悪い政治に対決し、どんな問題でも責任ある対案をしめす、まっとうな野党が必要です」と日本共産党への支持をよびかけた後、都政の問題に話をすすめました)

「オール与党」の害悪――都民いじめの政治の「推進役」

 都政はどうでしょうか。国の悪い政治から、都民の利益をまもる自治体の役割が、こんなに大切は時はありません。

 ところが石原都政になって六年、この知事は、「何がぜいたくかといえば、まず福祉」、「私はあの憲法を認めません。場合によっては命がけで憲法を破る」などの発言に象徴される、異常に乱暴な言動、暮らしと民主主義を壊す暴政をつづけてきました。ただ、こういう暴政は、知事一人でできるものではありません。いま都議会では文字どおりの共産党以外の「オール与党」体制。自民も、民主も、公明も、ネットも、みんな与党です。悪い政治は、知事と「オール与党」が二人三脚ですすめてきたのです。

 「都政新報」という都政の専門紙は、「この三年半の都議会を見ると、今度の都議選に期待されるものは大きい。チェック機関としての存在感が希薄で、質疑があまりにも低調だったからである。共産党など一部の会派を除くと、総与党化が進み、特に石原知事の二期目になってから翼賛的な傾向が顕著になった」(〇五年一月七日付)とのべました。

 そのとおりですね。同時に、「オール与党」の害悪は、チェック機能を放棄し、石原知事に「何でも賛成」というだけにとどまるものではありません。自らが都民いじめの政治の「推進役」となっていることが、とりわけ重大だと思います。

福祉切り捨ての「推進役」許せない――共産党で東京の福祉をとりもどそう

 まず福祉切り捨ての「推進役」です。高齢化の進行で、全国どこの自治体でも福祉の予算を増やすなか、石原都政は一割も削り込みました。

 シルバーパスは、全面有料化で七十歳以上のお年寄りの利用者数は72%から55%に激減しました。老人医療費助成(マル福)は、段階的に対象年齢が縮小され、再来年に廃止される動きです。福祉などへの補助金も百種類以上が減らされ、特養ホームでは、「シーツのとりかえ回数を減らした」「クリスマス会や旅行会を中止した」などの事態がおきています。在宅の寝たきりのお年寄りに月額五万五千円の手当を支給する福祉手当制度が、とうとう廃止されました。

 こうした冷酷な政治の「推進役」となったのは、実は「オール与党」なのです。都議会の議事録をみると、「オール与党」がよってたかって、福祉切り捨てを求めてきたことが、よくわかります。自民党都議は「福祉の見直しはどうなったか」と質問し、都当局に、切り捨ての実例をあげさせ、「九百二億円の財源がねん出できました」と答弁をさせています。民主党都議は、「老人福祉手当という現金給付制度は、寝たきりを助長する性質を持つものであり、結果として家族、現状ではとりわけ女性に重い介護負担を課する」と切り捨ての尻をたたきました。

 切り捨てたのは、お金だけではありません。苦労して働いてこられたお年寄りにいつまでも元気に暮らしていただきたい、病気でご心配の方は安心してお医者にかかっていただきたい、介護で苦労されている方々を少しでも支えよう――革新都政時代の「福祉の心」が切り捨てられたのです。「オール与党」の罪はきわめて重いのではないでしょうか。

 日本共産党は、乳幼児医療費を小学校入学前までひろげるなど現実の都政を動かす働きをしてきました。都議会代表によるテレビ討論会では、司会役のキャスターが「福祉といえば、やはり共産党」とのべました。「都政新報」は、「共産党は石原知事に対し、都議会のたびに、『東京の福祉は冬の時代になっている』と論戦を挑んできた。……九七年の都議選で共産党は、シルバーパスをはじめとした福祉施策見直しを批判し、第二党まで議席を伸ばしている。議会関係者は、『他党からすれば、二度と繰り返したくない「八年前の悪夢」だろう』と話す」と書きました(〇五年二月二十二日付)。

 知事と「オール与党」という福祉切り捨てコンビがもっとも恐れている日本共産党をのばして、東京の福祉をとりもどしましょう。

臨海開発でも「オール与党」が「推進役」――無駄づかい一掃の声を共産党へ

 巨大開発の無駄づかいの「推進役」となってきたのも「オール与党」です。石原都政は「都市再生」の名のもとに年間一兆円――バブル前の二倍の規模の巨大な公共事業をすすめています。その目玉事業にすえられているのが臨海開発です。石原都政の六年間で、臨海開発だけですでに二兆円ちかい都の財政と財産がつぎこまれ、こんご一兆円以上の都財政が投入される計画です。

 では臨海開発の実態はどうなっているか。臨海開発は、埋め立て・土地造成・基盤整備(“土台の事業”)と、そのうえに都がたてた七つの巨大なオフィスビル(“上物の事業”)からなっていますが、両方とも完全に破たんしてしまいました。

 “土台の事業”のほうは、造成地に民間企業をよびこんで、地代で採算をとるもくろみでしたが、民間企業の進出は計画の二割にも満たない状況です。

 “上物の事業”をみると、七つの第三セクターのビルのうち、二つが法的に破産。千四百億円が借金となりました。残り五つのビルも実質的に破産し、赤字穴埋めのための都の財政支援は五百億円にもなっています。都民の血税を吸い、財産をくいつぶし、ようやく生きながらえている状態なのです。

 ここでも「オール与党」が「推進役」になっています。都議会での論戦の経過をみるとよくわかります。

 二〇〇一年の都議会で、共産党の渡辺都議が、臨海開発を追及したのにたいして、石原知事は、「これは行くも地獄、退くも地獄なんだ」と、完全に行き詰まっていることを認める答弁をしました。

 この答弁であわてたのが「オール与党」です。「投げ出されたら大変」と巻き返しにかかります。自民党都議は、「これを進めていくことが、首都東京の再生につながると私たちは確信をいたしております」と知事に推進の誓約を求めます。民主党都議も「いまさら後戻りするわけにはまいりません」とハッパをかけました。

 「オール与党」の巻き返しのなかで、石原知事は、「このまちは、水辺の景観や充実した都市基盤など、ほかの地域にない、非常に優越性というものを有しておりまして、交通基盤を整備し、魅力を生かした開発戦略を打ち出していけば、必ずや飛躍的な発展を遂げて、国民全体の大きな財産になると思っております」と、やみくもな推進の方針を明確にしていくのです。

 これにたいして日本共産党は、「オール与党」の巻き返しを、押し返す論戦をおこなっています。今年三月の都議会での代表質問でのわが党の追及に、石原知事は、「建てなくてもいいものを建てて、さしたる目測もなしに投資した結果が今焦げついて、大きな隠れ借金になっている」といわざるをえなくなり、都庁のなかで「共産党が一本とったね」と評判になりました。知事の言葉どおりなら、臨海開発は抜本的なメスを入れなければならなくなりますから。

 臨海開発をめぐって、こういうせめぎ合いが都議会を舞台におこなわれているのです。日本共産党の議席こそ、無駄づかいをなくす一番たしかな力ではないでしょうか。

「日の丸・君が代」の押しつけ――子どもたちの心を傷つける暴挙やめさせよう

 「日の丸・君が代」の押しつけ問題はどうでしょう。生徒にも教師にも歌うことを強制する。命令にしたがわない教師の処分をおこなう。無理やり歌わせるのは、憲法で保障された内心の自由の乱暴な侵害です。こんな反教育的なことはない。これをあおりたててきたのも「オール与党」なのです。経過はつぎのとおりです。

 ――二〇〇三年七月。民主党都議が、参加者全員に君が代を斉唱させるために「式典運営指針などを制定すべき」と要求する。

 ――〇三年十月。これをうけて都教委は、卒業式での日の丸の掲げ方や子どもや教員の座り方、起立の仕方、君が代斉唱の仕方まで指示し、教員に君が代を歌うよう職務命令をだすと定めた「実施指針」を通達する。

 ――〇三年十一月。公明党都議が、「指針に従わない教員がいる場合、厳正に処分すべき」と要求し、都は「従わない場合は、職務命令違反として厳正に対処する」と、処分を約束する。

 ――〇四年六月。自民党都議が、本会議で、“教員が自ら歌うことだけでなく、生徒が君が代を歌うよう指導することを職務命令に盛り込め”と要求。都は、この要求も受け入れ、各学校長が出す職務命令に加えるよう指導する。

 日本共産党は、都民の運動と共同して「強制やめよ」と勇気ある論陣をはってきました。『サンデー毎日』が「『日の丸・君が代』強制の陰鬱」(〇五年四月十七日号)という特集をしていますが、「三月十一日、都議会予算特別委員会で注目すべきやり取りがあった。曽根はじめ議員(共産)が、……歌うか歌わないかは生徒自身の『内心の自由』にゆだねられるべきだと質した」と、共産党の質問に注目しました。

 共産党をのばして、民主主義を壊し、子どもたちの心を傷つける押しつけはやめさせようではありませんか。

 どの問題をとっても、都民いじめの悪政の「推進役」の「オール与党」か、都民の利益をまもりぬく日本共産党かの対決は、明りょうです。都民にとって希望ある明日を開くために、どうか激戦をかちぬかせてください。


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