2005年4月29日(金)「しんぶん赤旗」
根本に日本の無反省
日中関係でサウジ紙が論評
【カイロ=小泉大介】日中関係の緊張がアラブ諸国でも関心を集めるなか、サウジアラビアの有力紙アルリヤド二十日付は、「南京で何が起きたのか」と題する論評記事を掲載。日本の過去の中国侵略を告発するとともに、日本政府の無反省が現在の問題の根本にあると指摘しました。
記事は「中国と日本との間で起きている現在の危機は、教科書問題によって引き起こされている」とのべ、ナチス・ドイツの犯罪同様に日本が中国や韓国で犯した「恥ずべき歴史」を日本の教科書が無視しているとする中国側の主張を紹介しました。
日本の中国侵略の実態を詳述。さまざまな反人道的行為をおこない、七三一細菌戦部隊では「捕虜や市民に生体実験をし、その結果が製薬会社にも提供された」と犯罪性を強調しました。
また、戦後日本を占領した米軍当局が実験データと引き換えに七三一部隊を免罪したこともあげ、ニュルンベルク裁判で戦争犯罪の実態が明らかにされたドイツと比べ、日本では多くが隠されたとも指摘しました。
「それでもなお日本が否定できない二つのスキャンダルがある」として従軍慰安婦と南京大虐殺をあげ、「南京の写真はいまも中国人を憤激させている」とのべました。
同紙は十七日付社説でもこの問題を取り上げ、「互いの経済的協力関係にもかかわらず、中国と、過去の誤りと犯罪を認めない日本との間には隠された敵対意識がある」と論評していました。