2005年5月1日(日)「しんぶん赤旗」
介護法案 ポイントをみる
新しい予防給付
軽度者サービス抑制
「ヘルパーさんに来てもらえなくなるの?」「年をとってから筋トレ?」「利用料が高くなったら困る」――介護保険改悪法案をめぐって、不安がうずまいています。衆院厚生労働委員会の採決では自民、公明、民主の三党が賛成。連休明けに衆院本会議を経て、議論の場を参院に移すことになります。その中身を見ていきます。
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改悪法案の目玉とされているのが、新しい予防給付の導入です。
介護保険は、利用できるサービス費用の上限(支給限度額)が決められている新しい社会保険です。二〇〇〇年四月から始まりました。介護の必要度(要介護度)が軽い人には低い限度額、重い人には高い限度額が決められています。このなかでいろいろな介護を組み合わせて利用します。
2グループに
要介護度がどれくらいかは、市町村が認定します。いまは六段階(要支援、要介護1―5)にわかれています。
新予防給付の導入によって、これが七段階になります(図)。高齢者を、いままで通りの介護給付を受ける要介護者と、新しい予防給付の対象となる要支援者の二つのグループにわけます。
政府は、いま介護を利用している人のうち百五十万―百六十万人が予防給付に移るとみています。要支援の六十六万人全員と、要介護1の七―八割(九十万―百万人)です。全体の四割程度にあたります。要介護1のうち、病状が安定していない人や認知症(痴ほう症)の人は、予防給付の対象にはならないとされています。
新しく「要支援」と認定されると、筋力向上トレーニング(筋トレ)や栄養指導など、新しく始まるメニューを利用することになります。訪問介護など現行のサービスは、内容や利用できる期間などが見直されます。(詳しい内容は次回以降)
どうして新しく予防給付を始めるのでしょうか。政府は「軽度者へのサービスが状態改善につながっていないこと」を理由にあげていました。
理由でたらめ
しかし、衆院の審議でこの理由がでたらめだったことがわかりました。厚労省自身の「介護給付費実態調査結果」で、一年間継続してサービスを受けた要介護1の人の八割以上が、状態を維持、改善していたのです。
厚労省は、介護保険にかかる費用が大幅に増えている原因の一つが、軽度者の増加にあるとしています。そこで、軽度者にかかる費用を抑えようとして「新予防給付」を考え出したのです。
(随時掲載)