2005年5月7日(土)「しんぶん赤旗」
介護法案 ポイントをみる
地域包括支援センター
保健師1人で300件も
「新予防給付」導入で軽度者のサービス利用手続きも変わります。手続きの中心になるのは、新しくできる地域包括支援センターです。厚生労働省は全国で五千―六千カ所つくる計画です。予防の新サービス対象(要支援1、同2)と認定された人はまず市町村にある同センターに申し込んでもらうことになります。
地域包括支援センターでサービス利用計画(ケアプラン)をつくるのは基本的に保健師(または経験のある看護師)となります。いままではケアマネジャー(介護支援専門員)といわれる人が担当していました。
給付抑制ねらい
同センターのねらいも給付抑制にあります。ケアマネジャーの多くがサービス提供事業者や企業に所属しているため、営利優先で過剰な自社サービスの勧誘・押し付けを行い、結果的にサービス利用量が増えすぎたと厚労省は判断。市町村が責任を持って運営する地域包括支援センターに、「適切なケアマネジメント」にもとづく「公正・中立」なサービス利用計画をつくらせることにしたのです。厚労省は給付抑制のかなめと位置づけています。
しかし、新予防給付の対象となる軽度者は全国で百五十万―百六十万人。たいする同センターの設置数は五千―六千。保健師一人あたり約三百件もの計画を受け持つことになります。ケアマネジャーの受け持つ標準担当件数は現行五十件ですが、これさえ多すぎるとして厚労省は引き下げを検討している最中です。それを三百件も担当させるというのは無理があります。
この点を衆院の審議で追及された厚労省は、ケアマネジャーに委託できると答えています。委託しても最終的に保健師が責任を持つことに変わりありません。しかもケアマネジャーから切り離した利用計画づくりのため、地域包括支援センターを設置しながら、いざとなったら委託で活用。首をかしげる見直し案となっています。
人材がそろうか
地域包括支援センターには保健師のほかに、高齢者虐待をはじめ各種の相談にのる社会福祉士、介護が困難な利用計画づくりを応援する主任ケアマネジャーの三人を常駐させることにしています。いずれも専門的知識、豊富な経験が必要な人材で、そろって確保できるかどうかが重要課題となります。
さらに、厚労省が利用計画づくり・相談事業の拠点として一万カ所を目標に設置をすすめてきた在宅介護支援センター(現在八千九百カ所)の活用も問題になっています。衆院の審議で尾辻秀久厚労相は「職員体制が確保され、地域に根ざした活動を行っている在宅介護支援センターについては、その活用を図ってまいりたい」と答弁し、地域包括支援センターへの衣替えを認めています。
(随時掲載)
地域包括支援センターのイメージ図
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