2005年5月10日(火)「しんぶん赤旗」
国民年金の督促電話 民間委託費
2年で15億円も
NTT関連会社に好条件
“個人情報保護は?”と苦情も 小池議員調査
国民年金に加入義務のある人の三人に一人が掛け金を納めていないなか、社会保険庁は〇七年度までに納付率を80%まで回復させるとして、電話で保険料の督促業務を行っています。ところが、この業務を全国にある社会保険事務所などが行わずに民間に委託、二年間で十五億円も使いながら納付率がほとんど上がっていないこと、民間委託を被保険者に事前通知していないことから苦情が寄せられていることが九日までにわかりました。日本共産党の小池晃参院議員の調査で判明したもの。
問題の委託業務は、社会保険事務所などから月ごとに提供される国民年金電話納付督励調査票にもとづいて、国民年金保険料の新規、短期未納者に対し、電話で納付を勧めるものです。
被保険者からは、小池議員の事務所にも「NTTアクトです。国民年金保険料が未納になっています。払ってくださいと電話がかかってきてびっくりした」「個人情報保護はどうなっているんだ」と訴えがきています。
これまでの督励件数は、〇二年度が約百八十七万件、〇三年度が約四百七万件。委託費はそれぞれ六億三千万円、八億七千万円で、合計十五億円になります。電話一本当たり二百五十二円という計算になります。
社会保険庁は〇三年度の納付率63.4%を〇四年度に2.3%上げ、65.7%にする目標でしたが、二月末の達成率は前年同月比でわずかプラス0.04%です。
社会保険庁が小池議員に提出した資料によると、委託先の大半がNTTの関連会社で、二十四業者のうち十四業者が、NTTマーケティングアクト九州、NTTデータ関西カスタマサービスなどで占められています。
小池議員はこうした調査にもとづき、さる四月二十六日の参院厚生労働委員会で年金加入者の未納情報をNTT関連会社に渡すのを見直すよう要求しました。
これに対し、尾辻秀久厚生労働大臣は「選定にあたって、NTTがずっと並んでいるのは事実」と認めたうえで、「こうした選定が適当であるかどうか絶えずチェックし、私もチェックをさせていただきながら進めたい」と答弁しました。