2005年5月11日(水)「しんぶん赤旗」
年金10万に年7万円の消費税負担という根拠は?
〈問い〉 国会の年金・社会保障両院協議会での小池晃参議院議員の意見表明で「年金が10万円しかない高齢者の場合、いまでも年間7万円程度の消費税を負担しています」とありますが、この根拠を教えてください。(東京・一読者)
〈答え〉 年金が月10万円なら、年間の収入は120万円です。これに消費税率5%をかけると6万円になりますから、「7万円では多すぎるのでは?」という疑問を持たれたのだと思います。
ところが、高齢者の生活の実態に照らして考えると、そんな単純な計算にはならないのです。
平均的な高齢者世帯の状況を考えると、月10万円の年金では、生活費に足らないのが現実です。このため、子どもからの仕送りや預貯金を取り崩して生活費に充てています。
総務省の「全国消費実態調査」(99年)のデータで「夫婦とも65歳以上の無職世帯」について調べると、「公的年金が年80万円〜120万円」の世帯の年間消費支出は平均160万円、「年金が120万円〜160万円」の世帯では、年間消費支出が180万円となっています。
これから、家賃や医療費など消費税が課税されない部分を除くと、約136万円〜150万円になります。
この支出に税率5%で消費税が課税されると、消費税負担額は6・8万円〜7・5万円という計算になります。
小池議員の指摘は、以上のような計算にもとづいたものです。
このような低所得者の場合、収入に対する消費税負担率は、年収の5%を上回ることになります。一方、何千万円もの収入がある高額所得者の場合は、収入の一部しか消費に回しませんから、収入に対する消費税負担率は1〜2%程度にしかなりません。
このように、低所得者ほど負担が重くなる(負担率が高くなる)のが、消費税の特徴です。これを消費税の「逆進性」といいます。
こんな「弱いものいじめ」の税金を、「社会保障の財源に充てる」と称して増税するなど、まったく道理に合わない議論だといわなければなりません。(垣)
〔2005・5・11(水)〕