2005年5月12日(木)「しんぶん赤旗」
「会社法」案 どう考える?
〈問い〉「会社法」案の問題点、共産党の考えは?(宮城・一読者)
〈答え〉現在、国会で審議されている「会社法」案は、株主と経営者の権利と義務、会社運営、労働者や債務者の保護など会社のあり方を定める商法、有限会社法などの法律を統一し、今後、企業にとって一番の基本となるものです。
フジテレビ・ライブドア問題で、敵対的買収対策という観点から、「会社法」案に注目が集まりましたが、それはこの法が企業の行為の是非を定めるものだからです。
企業をめぐっては、コクド・西武鉄道の商法・証券取引法違反事件、カネボウの粉飾決算など、多くの不祥事が発生しています。それによって何の責任もない労働者や国民に犠牲が押しつけられ、日本社会と経済をゆるがせています。
いま企業に求められているのは国民に衝撃を与えたこれら不祥事の原因を明らかにすることです。その上で企業経営の透明性を高め、国民・労働者による企業の監視強化のための仕組み作りであり、そのことを通じて企業に社会的責任をはたさせる事です。
「会社法」案は、これにこたえるものになっていません。
典型的なものが株主代表訴訟の改悪です。株主代表訴訟といえば、旧大和銀行の経営者に八百億円の賠償を命じた判決が記憶に新しいですが、このような裁判を通じた責任追及が経営者の違法行為をけん制してきました。
新しい「会社法」案では、「会社の正当な利益」に反する株主代表訴訟はおこせなくなりました。会社の経営者は、裁判の中で違法行為は「会社の利益を思ってやった」と言うのが常です。「正当な利益」重視によって、株主代表訴訟提訴はむずかしいものとなってしまいます。株主代表訴訟の骨抜きを狙ってきた財界の要求にこたえたものです。
企業不祥事は減るどころか増えることになりかねません。
また、コクドと西武鉄道のような事件で、子会社の切り捨てに終わらせず企業グループ全体にどう責任を取らせるのかも問われていますが、これも「会社法」案では先送りになってしまいます。(岩)
〔2005・5・12(木)〕