2005年5月15日(日)「しんぶん赤旗」
頻発する停電、失業率5割…
国民の苦難深く
イラクで生活調査
【カイロ=小泉大介】国連開発計画(UNDP)とイラク計画省が共同で実施したイラク人の生活実態調査の結果が十二日に公表され、米軍によるイラク戦争と占領が国民にいかに大きな苦難をもたらしているかが改めて浮き彫りとなりました。
昨年後半、イラク全十八州の約二万一千七百世帯に対して行われた調査によれば、生活インフラの分野では、清潔な水を利用できる世帯は全体の54%にとどまり、85%の国民が頻発する停電に不満を表明しています。また危機的な住居不足に対処するために、新たに百五十万戸の住宅の供給が必要だとしています。
国民の健康面では、生後半年から五歳までの子どもの四分の一が慢性的な栄養失調になっています。妊産婦の死亡は出生十万人あたり九十三人。隣国ヨルダンの十四人に比べ、はるかに高い率となっています。
経済面はとりわけ深刻で、失業率は約五割です。不完全就業者も33%に達しています。高校・大学卒業者の37%が職に就けない状況。これら多数の若者が今後、武装勢力の活動に参加していくのではないかとの懸念が高まっています。一九八〇年代のイラクの失業率は3%台、経済制裁下の九〇年代でも13%台だったとされます。
今回の調査に関して記者会見したバルハム・サリ計画相は、「調査結果は、イラク国民の生活の質が悲劇的な状況にあること、この国の豊かな資源とは対照的に、国民にとってきわめて重要な分野での生活水準が悪化していることを示している」と述べ、国際的な支援を訴えました。