2005年5月17日(火)「しんぶん赤旗」
2005年5月17日(火)「しんぶん赤旗」
小泉純一郎首相は十六日の衆院予算委員会で、靖国参拝にたいする中国、韓国からの批判が強まっていることについて、「戦没者全般に対して敬意と感謝の誠をささげるのがけしからんというのは、理由が分からない。いつ行くかは適切に判断する」とのべました。民主党・仙谷由人議員への答弁。
首相は、中国や韓国からの批判にたいし、「どのような追悼の仕方がいいかということを他の国が干渉すべきでない」と発言。東条英機らA級戦犯を合祀(ごうし)している靖国神社への参拝が厳しい批判を受けている点についても、「罪を憎んで人を憎まずだ」と開き直りました。
また、「日本は戦争に突入した経緯をふまえると、国際社会から孤立して米英との戦争に突入した」とのべ、過去の戦争を「自存自衛の戦争」と主張する侵略戦争美化勢力と共通の認識を示しました。
仙谷氏が、首相の政治判断として靖国参拝を自制することを求めたのにたいしても、「一部の外国の言い分を真に受けて、外国の言い分が正しいといって、日本政府の私の判断を批判するものだ。私は何ら問題があるとは思っていない」とのべました。
小泉純一郎首相は十六日午後、年内の靖国神社参拝の可能性に言及した同日の衆院予算委員会での自身の答弁について、首相官邸で記者団から真意を聞かれたのに対し、「適切に判断します」と三度繰り返し、詳しい説明を避けました。
一、靖国神社は単なる宗教施設ではない。戦前は侵略戦争に国民を駆り立てる役割を果たし、あの戦争が「自存自衛のため」で正しかった、戦争行為そのものをたたえることを使命としている。
ホームページでA級戦犯合祀(ごうし)について、一方的な裁判で戦争犯罪人というぬれぎぬを着せられ命を絶たれた方をまつっているとのべるなど、侵略戦争を「正しい戦争」だったとする考え方の発信地になっているのが靖国神社だ。
ここへの参拝は亡くなった方の追悼に最もふさわしくない。戦後の不戦の誓いに真っ向から反するものだ。首相といえど個人的な間違った信念のために、近隣諸国との友好という国益を覆すことは許されない。
一、予算委でのやりとりでは、侵略戦争への経過について「国際社会から孤立して米英との戦争に突入した」とものべた。戦後世界は、自国の存立のため他国の領土を奪ってもかまわないという考えで侵略戦争を起こしたことの反省に立ち、二度とこんなことを起こしてはならないという決意から始まった。この反省のない首相の戦争への認識は異常だ。
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