2005年5月19日(木)「しんぶん赤旗」
京都議定書の発効 その意味は?
〈問い〉 先日、京都議定書が発効したと聞きましたが、どんなものですか? 地球温暖化対策のために日本は何をすべきなのですか?(京都・一読者)
世界の科学者で構成する「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の01年報告書(第3次報告)は、最悪の場合、百年後に世界のCO2排出量が90年比で4倍に増え、地球の平均気温は5・8度上がると予測しています。
日本では、この百年間に年平均気温が約1度上昇、降水量が5%減り、亜熱帯性のチョウやセミが列島を北上し、桜の開花が早まるなど、昆虫や植物の変化がみられます(地球環境と大気汚染を考える全国市民会議=CASAの研究調査まとめ)。
こうしたなかで、1997年のCOP3(気候変動枠組条約第3回締約国会議)で採択された京都議定書が今年2月16日、アメリカの離脱などの困難を乗り越えて発効しました。温暖化防止を願う「世界の努力の歴史的一歩」(アナン国連事務総長)であり、京都議定書で定めた法的拘束力のある目標達成(08〜12年までに90年比6%削減を義務づけ)は緊急の課題です。
COP10で報告された主な先進国の削減目標に対する02年温暖化ガス排出増加率(90年比)をみると―
フランスは0%に対し1・9%減、イギリスは12・5%減に対し14・5%減、ドイツは21%減に対し18・6%減です。EUは、10年までに目標の8%減を上回る8・6%減の達成が可能とする報告書を発表しています。
しかし、アメリカは7%減に対し13・1%増、日本は6%減に対して12・1%増と、逆に増やしています。
日本は増加分とあわせ、今後14%の削減が必要です。それを実現するためには、家庭の対策は大切ですが、CO2排出量の8割を占める産業部門の削減を実効あるものにすることがカギです。
米国が京都議定書に復帰し地球の環境をまもるように、日本政府としての強い働きかけも求められています。(梅)
〔2005・5・19(木)〕