2005年5月19日(木)「しんぶん赤旗」
学生無年金障害者訴訟
京都地裁
原告の請求棄却
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成人学生の国民年金への加入が任意だった時期に、未加入のまま障害を負って障害基礎年金が支給されないのは違憲だと、京都市の坂井一裕さん(54)と京都府精華町の女性(42)が、国に不支給処分の取り消しと損害賠償を求めた訴訟の判決が十八日、京都地裁でありました。水上敏裁判長は、国民年金制度は「立法府の広い裁量に委ねられている」とし、学生無年金障害者への対策を講じなかったことは違憲とはいえないとして、原告の請求を全面的に棄却。原告らは「著しく不当な判決」として控訴します。
判決は、当時の学生の国民年金への任意加入を「不合理ではない」とし、法改正の際に学生無年金障害者への対策を放置したことについても「合理的」と判断。「他の制度の存在を考慮すれば年金不支給が直ちに学生無年金障害者の生存権を侵害するものとも言えない」としています。
しかし障害を負った年齢で年金支給・不支給が決まることへの不合理や長年放置されてきたことに強い不公平感を持つことは「もっともだ」と指摘。「原告ら学生無年金障害者の生活実態も考慮すると、何らかの救済措置をとることが憲法二五条の理念にかなう」と認めながら、昨年まで救済措置が講じられなかったことが「立法府の裁量の逸脱・らん用には当たらない」としています。
同趣旨の訴訟は全国九地裁で提訴され、東京、新潟、広島、福岡地裁では原告が勝訴。今年三月の東京高裁では、原告が逆転敗訴しています。
高裁勝利誓う 原告側
「当事者だけの問題ではない。このままではだれも安心して生きていけない」――原告敗訴の「合憲」判決が出された、十八日の学生無年金障害者京都訴訟。原告や家族、支援者らは、不当判決への怒りの涙をぬぐい、夕方には街頭宣伝を行うなど、大阪高裁での勝利と他の地裁での勝利にむけて動き始めました。
法廷には、京都の支援者をはじめ、大阪、福岡、広島訴訟や在日外国人無年金障害者訴訟の関係者などがつめかけました。「えっ」。原告敗訴の判決が読み上げられると、傍聴席は驚きのあまり絶句。無年金障害者問題を学んできた看護学生は「授業で学んだだけですが、あまりに腹立たしくて…」と涙を流します。
判決後の報告集会には、約百五十人が参加。原告の坂井一裕さんは、「大変残念な結果。私たちの生活の困窮を救済する人間性があってもいいのではないか。全国各地の訴訟では、力合わせて京都の不当判決をはね返すよう、原告一同努力してたたかっていきたい。この不当判決をバネに高裁でたたかう」と決意。
原告の女性の母親(72)も力強く話します。「この怒りをエネルギーに変え、全国の仲間と活動を続けます。七十七歳の夫が生きている間に勝利するため頑張ります。明けない夜はありません」