2005年5月21日(土)「しんぶん赤旗」

郵政民営化

特別委設置を強行

共産党は反対 衆院本会議で自・公


 自民、公明両党は二十日の衆院本会議で、郵政民営化法案を審議する特別委員会の設置議決を強行しました。日本共産党は、本会議に先立つ議院運営委員会で反対の意見を表明。本会議議決でも反対しました。一方、民主、社民は本会議を欠席しました。

 日本共産党の志位和夫委員長は本会議後、強行に強く抗議し、「徹底審議を通じて廃案に」と語りました。

 本会議に先立つ議院運営委員会では、日本共産党の穀田恵二議員が反対の意見表明。民主、社民両党の代表も反対を表明しました。同委員会の採決で民主、社民議員は退席しました。

 特別委員会は、四十五人で構成。自民党は、小泉首相の主導で、すでに委員長や筆頭理事の人選も終わらせ、来週中に審議入りをめざしています。


穀田議員の意見(要旨)

政府の約束にも違反

 日本共産党の穀田恵二議員が二十日、衆院議院運営委員会で行った郵政民営化特別委員会設置についての意見表明(要旨)は次の通りです。

写真

特別委の設置に反対表明する穀田恵二議員=20日、衆院議院運営委

 小泉内閣が連休前の四月二十七日になって国会提出した「郵政民営化法案」は、郵便・貯金・簡保という郵政三事業が担ってきた国民への基礎的な通信・金融サービスとそれを支える郵便局の全国ネットワークを重大な危機にさらすものであり、わが党は、本法案の撤回を強く要求してきました。

 そもそも何のための民営化なのか、小泉首相はいまだにまともな理由を示さないまま、「改革の本丸」と一方的に称して、残り会期一カ月というもとで審議入りし、成立をはかろうとしていることは容認できません。

 重大なことは、本法案が、審議の前提を欠く欠陥法案であることです。

 この間、議運理事会で議論になったように、本法案は、一九九八年に制定された中央省庁等改革基本法第三三条一項六号と真っ向から矛盾するものです。

 この規定は、郵政事業庁を郵政公社に移行させる方針を盛り込むにあたって、「民営化等の見直しは行わない」と明記したものです。当時、郵政公社化が「民営化の一里塚」ではないかという批判にこたえたものであり、当時の小里貞利行革担当大臣は「これはこの形態でいきますよという精神をきちんと明記」したものだと答弁していました。

 「郵政公社を民営化せず」は、国会と国民に対する政府の約束として法律に明記したものです。政府が、この規定をふみにじったまま、郵政民営化法案を提出することは許されません。

 さらに、法案の骨格にかかわる重要な事項が百三十項目以上も政省令に委任されていること、また、法案提出直後から政府与党内部から法案修正が公然ととりざたされていることも重大です。およそ責任ある法案審議はできないといわねばなりません。

 こうしたもとで、なぜ特別委員会を設置するのか。議論はきわめて不十分です。

 自民党の山口俊一筆頭理事は、「郵政民営化にかかわって、金融、物流など広範な議論を時間をかけて行う必要がある」といいました。しかし、郵政を所管する常任委員会は総務委員会であり、現に総務委員会で金融、物流をふくめた広範な議論が行われており、信書便法案も郵政公社法案も総務委員会で審議されました。所管であり、蓄積もあり、専門性もある総務委員会で審議することにいかなる不都合があるのでしょうか。

 昨日、公明党の遠藤乙彦理事が「定例日にとらわれず集中して審議できる」とのべたことは看過できません。結局、総務委員会ではなく特別委員会とするのは、定例日にとらわれないということだけではありませんか。反対意見を無視して、法案にどんなに欠陥があっても、短期間で押し通そうという姿勢は、議会制民主主義に反するものであり、断じて許されません。


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