2005年5月21日(土)「しんぶん赤旗」

漁民側

「諫早干拓」で最高裁判断を

福岡高裁に申し立て


 国営諫早湾干拓事業の工事差し止め仮処分を取り消した福岡高裁(中山弘幸裁判長)の決定は「最高裁判例違反だ」として、漁民側は二十日、最高裁の判断を求める抗告を許可するよう同高裁に申し立てました。

 漁民側の「よみがえれ有明訴訟弁護団」は申し立て後の記者会見で、「国の態度をみて、そして高裁決定を詳細に検討した結果、許可抗告することを決めた」としました。当初は、抗告せず、公害等調整委員会の原因裁定も見極めながら裁判以外で工事中止を求める方向でした。

 馬奈木昭雄弁護団長は「私たちの要求は開門と有明海再生だ」と強調。農水省が決定の即日、福岡高裁でさえ「国の責務」と指摘した中長期開門調査をおこなわないと明言し、工事再開に着手したことをあげて、「そこまで裁判所の判断、国民の声を無視するならば、法的手続きを尽くすべきだと判断した」とのべました。

 弁護団は「福岡高裁決定が因果関係の証明に『一般より高い』というハードルを設けたのは、最高裁判例違反だ」と指摘しました。

 最高裁第二小法廷判決は「一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく、…通常人が疑を差し挟まない程度に真実性の確信を持ちうるもの」(一九七五年十月二十四日、ルンバール判決)としており、佐賀地裁はこの判断にのっとり、因果関係を認めていました。


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