2005年5月21日(土)「しんぶん赤旗」
高額納税者の減税は?
〈問い〉 先日、高額納税者が発表されましたが、こういう人たちには、どのくらいの減税がされているのでしょうか?(東京・一読者)
〈答え〉 先日、国税庁が公示したのは、04年分の所得税が1000万円を超える高額納税者(全国で7万5640人)で、そのうち上位100人の氏名・納税額などが公表されました。100人の納税額は合計で543億円です。
仮に、この100人の所得が、すべて給与所得や事業所得であったとすれば、税額から課税所得を逆算でき、これにもとづいて減税額も計算できます。
この方法で、99年の最高税率引き下げ以前と比べた減税額を計算すると、所得税・住民税をあわせて、100人で約218億円という計算になります。1人あたり2億円です。納税額トップの投資顧問会社部長の場合は、約15億円の減税と思われます。
実際には、高額所得者の場合は、給与や事業所得だけではありません。新聞報道では、100人のうち3分の1くらいは、株式譲渡益が主な所得であるといわれています。上場企業株式の譲渡益の場合、現在は「売却益の7%(住民税あわせて10%)」という分離課税が適用されるため、減税額はさらに大きくなります。
なお、4月20日と5月7日付けの本欄で、大手サラ金の社長が7億円、専務が6億円の減税と書きましたが、若干の計算違いがありました。株式配当の減税を前提にした計算でしたが、「発行株式の5%以上保有」の場合には、この減税が適用されないため、減税額は少なくなります。この2人も今回公表の上位100人に入っているので、そのデータで計算すると、社長の減税額は4億円弱、専務は2億円弱となります。(垣)
〔2005・5・21(土)〕