2005年5月26日(木)「しんぶん赤旗」
CS放送「各党はいま」
志位委員長が語る
郵政・介護 対決の構図は
日本共産党の志位和夫委員長は、二十五日、CS放送・朝日ニュースターの「各党はいま」に出演し、郵政民営化と国会の状況について語りました。聞き手は朝日新聞の根本清樹編集委員。
自公・民主―郵貯・簡保つぶしでは同じ流れ
――「郵政国会」がスタートしますが。
志位 郵政民営化法案は、審議が始まる前から破たんがはっきりした、すでにボロボロになった法案だと考えています。
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一番の問題は、郵貯・簡保を、一般の銀行、保険会社に変質させてしまうという点です。それによって何がおこるかといえば、土日でも手数料はとらない、全国どこでも身近なところに金融窓口があるなど、「民間ではできないサービス」がなくなってしまうということです。さらに全国の郵便局のネットワークをずたずたにしてしまう。狙いは郵貯・簡保の三百五十兆円のお金を日米の巨大金融資本の食い物にすることです。
――自民党のコップのなかの嵐ばかりで、与野党の対決の構図が見えにくい。
志位 よく見なければならないのは民主党の政治的位置です。民主党は、四月七日に、日本経団連と「政策を語る会」をもち、岡田代表、仙谷政調会長、五十嵐ネクスト総務相が出ましたが、ここで「郵政の金融事業は本来、縮小・廃止すべきである」と主張しています。テレビでも民主党の代表は「お金の民営化」という。つまり、郵貯・簡保をつぶしてしまって、三百五十兆円のお金を、民間の銀行や保険会社に移し替えようということです。郵貯・簡保の廃止という日本経団連やアメリカ金融資本の要求を、いちばんストレートに代弁しているのが民主党なのです。
――法案への対応では民主党も反対ですね。
志位 国会対応では、わが党は審議拒否はすべきでない、徹底審議をつうじて廃案をめざすという立場です。また法案に反対するという結論では一致しても、反対する政治的立場がまったく違います。立場の違いをきちんと議論していく。
たとえば、小泉首相も、民主党も、「(郵貯・簡保は)民業圧迫だからけしからん」ということでは、言い方は多少違っても同じでしょう。ここが重要なポイントです。
この発信源は日本経団連と全国銀行協会なのです。日本経団連は「民間企業との対等な競争条件のもと、公平・公正な競争の活性化」(〇四年十二月六日)が必要として、郵貯・簡保がそれを阻んでいるという。
私は、よくこんな図々しいことをいうと思いますね。郵政三事業には国民の税金は一円も入っていないのです。ところが、大銀行には公的資金が三十五兆円も入っているのです。うち十兆円は戻ってこない。大手行の自己資本の半分は公的資本です。税金づけになっていながら、「公平・公正な競争」などとよくいえたものです。
「民業圧迫」というのは、たしかに大銀行や大手保険会社からみたら、郵貯・簡保はじゃまな存在でしょう。しかし国民から見たら「民間にはできないサービス」をになっているかけがえのない財産です。「民業圧迫」というけど、国民を圧迫しているのは大銀行の側なのです。
介護保険改悪法案でも「オール与党」
――国会は郵政一色ですが、ほかにも大事な問題があるのでは。
志位 国民の暮らしにとってきわめて深刻な影響をおよぼす法案をめぐるたたかいも、きわめて重大です。とくに介護保険改悪法案(参議院で審議中)、障害者「自立支援」の名による悪法を廃案においこむために力をつくしたい。
介護保険改悪の衆議院での採決のさいには、民主党も賛成しました。わが党は、審議で、家事サービスの抑制や過酷な負担増などを徹底追及しましたが、民主党の委員からも私たちと同じような論点の批判がずいぶんあったのです。ところが最後の段階で賛成に回りました。
最後に自公と民主でおこなった「修正」は、法案をいっそう改悪する内容でした。保険料の徴収年齢の「範囲の拡大」の検討――保険料を若年層からもとることを検討しようという条項を、付帯決議のなかに書き込ませました。
「政権準備政党」というのは、国の基本問題では何でも賛成の「オール与党」化にほかならないということを、この経過をみてもまざまざと思いました。こうした流れに対決するわが党の役割は、いよいよ大切です。