2005年5月27日(金)「しんぶん赤旗」
「A級戦犯 罪人ではない」
森岡・政務官 侵略戦争を正当化
自民党の森岡正宏厚生労働政務官は二十六日昼の同党代議士会で、靖国神社参拝問題に関し、「戦争は一つの政治形態であり、(日本は)国際法に定められたルールにのっとって戦争をした。A級戦犯は罪人ではない」などと過去の侵略戦争を正当化する発言をしました。
A級戦犯とは、戦後の一九四六年五月から四八年十一月にかけて行われた東京裁判(正式には極東国際軍事裁判)で、侵略戦争を計画・準備・開始・遂行した「平和に対する罪」「人道に対する罪」で裁かれた戦争犯罪人です。太平洋戦争開戦時の首相・東条英機や関東軍(中国侵略部隊)司令官など二十四人です。従来の戦闘法規違反や捕虜虐待などを理由に裁かれるB、C級戦犯と区別されて規定されます。
靖国神社は、そのA級戦犯を裁いた東京裁判を“戦勝国が勝手に裁いた不当な報復裁判”と敵視し、A級戦犯を天皇のために殉じた英雄としてまつっています。森岡氏の発言は、その靖国神社の宣伝文句を代弁したものです。
森岡氏は「中国に気遣いをして、A級戦犯がいかにも悪い存在だという処理をされているのは残念だ」「(戦争に)勝った方が正義で負けた方が悪ということはない」などと語りました。しかし、戦争犯罪人の処罰は、日本が受諾したポツダム宣言(一九四五年)に明記されています。また、一九五一年に結ばれたサンフランシスコ平和条約の第一一条でも「連合国戦争犯罪法廷の裁判を受諾し…刑を執行する」ことを約束しました。日本が国際社会に復帰した原点であり、国際公約でもあります。森岡氏の発言はこれを否定する暴言です。
森岡氏は、歴史教科書攻撃を繰り返してきた「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」のメンバー。自民、民主両党の国会議員でつくる「日本の領土を守るため行動する議員連盟」の会長を務め、三月には同連盟として右翼団体幹部を招いて国会内で会合を開いたりしています。