2005年5月27日(金)「しんぶん赤旗」
イラク
米軍、西部で市民殺害
国軍は首都で大規模作戦へ
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【カイロ=小泉大介】イラク駐留米軍は二十五日未明、首都バグダッド北西約二百六十キロのハディサで「武装勢力掃討」を目的にした新たな大規模軍事作戦を開始しました。一方、イラクのドレイミ国防相は二十六日、首都バグダッドに四万人以上のイラク軍部隊を展開させ、空前の規模の「武装勢力掃討」作戦をおこなうと表明しました。
米軍のハディサでの作戦は海兵隊など約千人の部隊と武装ヘリを動員した激しいもので、米軍は同日、十人の武装勢力を殺害したと発表しました。
しかし現地からの報道は、米軍が町を包囲し民家をかたっぱしから家宅捜索したうえ、朝の礼拝に向かう市民に銃撃し五人を殺害、七人を負傷させたとのハディサ住民の目撃情報を伝えています。ハディサ病院の医師も二十五日、住民二人の死亡と一人の負傷を確認しています。
米軍は七日以降、シリア国境近くのカイムで、二十二日以降はバグダッド西部で大規模な掃討作戦をおこなっていますが、武装勢力による攻撃やテロはおさまるどころか逆に激しさを増しています。
バグダッドでの「掃討」作戦についてドレイミ国防相は会見で、バグダッドを包囲しておこなうとしたうえで、「この包囲を破ることはだれにもできない」「前例のない完全なる治安対策を目にすることになるだろう」と強調しました。
この作戦を前にバグダッドでは二十六日早朝、イラク警察の車両近くで自動車爆弾による攻撃が発生、三人が死亡、六人が負傷しました。また、イスラム教シーア派のダアワ党メンバー一人が暗殺され、さらに出勤途中の大学教授が武装勢力の銃撃をうけ、警護員三人とともに射殺される事件も発生しました。四月二十八日の移行政府発足後のイラク人死者は六百二十人を超えました。