2005年5月28日(土)「しんぶん赤旗」

国際熱核融合実験炉の日本誘致どう考える?


 〈問い〉 国際熱核融合実験炉(ITER)の日本誘致について日本共産党はどう考えますか?(東京・一読者)

 〈答え〉 ITERをはじめ核融合の研究開発は、原子力エネルギーの平和利用の新しい可能性のひとつとして注目されているものです。

 核融合とは、水素など軽い原子核同士が融合して、より重い原子核になる反応で、その際に巨大なエネルギーが放出されます。太陽のエネルギーも核融合反応によるものです。

 この核融合を地上で実現し、安全に制御できれば、新しいエネルギー源として利用できるため、半世紀にわたって研究開発が進められてきました。実際に発電などに実用化されるには、まだ何十年もかかるとみられています。核融合反応の種類や核融合炉の技術など、ITERとは異なる型を含め、多様な研究がすすめられています。

 ITERは、日本、EU(欧州連合)、アメリカ、ロシア、中国、韓国が参加する国際共同プロジェクトです。その目的は、実用ではなく、安定した核融合反応によるエネルギー生成を実証することです。

 現在は、ITERの建設・運転について協議中で、日本(青森県六ケ所村)とEU(フランス・カダラッシュ)が誘致を競っています。

 日本共産党は、ITERの日本誘致には、経費負担が膨大になるなどの問題があると指摘してきました。誘致国の経費負担は、総事業費一兆三千億円の大半となる見込みです。これによって、他の研究予算が圧迫されることが懸念されています。

 ITERの核融合反応で生じる強い放射線に耐える材料の開発など技術的な見通しについては、研究者の間で意見が分かれています。

 誘致先である青森県では、安全性や放射性廃棄物処分などの不安から住民が反対しています。核融合研究にあたっては、安全確保を最優先とし、基礎研究を含め幅広い研究開発が求められます。(剛)

 〔2005・5・28(土)〕


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