2005年5月30日(月)「しんぶん赤旗」
イラク求人 東北でも
「月50〜60万円」と誘う
建設関連労働者が証言
戦地イラクでの求人募集が東北地方でも――。長崎市のハローワークでイラクを就業場所とする「求人」がおこなわれていました(本紙三月二十八日付)が、東北地方でも同じような「求人」活動がおこなわれていることが、建設関連労働者の本紙への訴えで明らかになりました。
この人物は二十代の男性で、五月初旬まで東北地方を中心に道路工事などを請け負っている建設関連企業で働いていました。
訴えによると、イラク行きをいわれたのはことしの三月末。道路工事の現場で、社長から突然「イラク行きの話がある。頭に入れておいてくれ」といわれたといいます。
社長の示した待遇は一日二万円。月にして五十万円から六十万円で、場所は「イラク国内」。仕事は「土木作業などの復興の手伝い」で、五月末には第一便が出発するといわれました。
社長からは「安全だから大丈夫」と説得され、高給にもひかれたこの男性はイラク行きを決意。その後、出入国に必要なパスポートについても社長から「オレが用意する」と伝えられます。四月末には、社長に「現場での服や食事はどうするのか」と質問。社長から「現地(イラク)で用意する」といわれました。また、出発前には「場所は聞いていないが、体力検査もある」と聞かされました。
しかし、四月末、不安になって友人にイラク行きを相談。その友人はインターネットに掲載されていた「しんぶん赤旗」の記事を見せ、イラク行きをやめるよう説得。「帰ってこれないんじゃないか」と不安に駆られ、結局五月初旬に会社もやめ、イラク行きも辞めたといいます。
男性が提示された給与などの条件はハローワーク長崎を通じた「イラク求人」の条件とほぼ同じ。時期も約一カ月ずれているだけです。長崎で「求人」を出した業者は本紙に「求人」の背景に日本の大手ゼネコンや商社の存在を示唆。「パスポートを取得した人物を集めて、大阪と東京で説明会をおこない、それから出発することになる」と語っていました。
今回の男性の証言は「イラク」を就業場所とする“募集活動”が、長崎にとどまらず、他でもおこなわれている可能性を示しています。
戦争の「民営化」を進める米軍のもとで、イラクでも外国の民間人の雇用が激増。イギリスの警備会社に雇われた日本人の「殺害」が問題になっています。アメリカの警備会社にくわしい関係者は、「イラクにはまだ日本人がいる。米軍や軍需産業に雇われていると聞いている」といいます。国内での「イラク求人」の背景の解明が重要になっています。