2005年6月1日(水)「しんぶん赤旗」
環境壊す圏央道追認
事業認定取り消し請求棄却
東京地裁
首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の建設で「高尾山などの貴重な自然、史跡が破壊される」と、東京都八王子市の住民ら八百七十二人と自然保護団体七団体が土地収用法にもとづく国土交通相の事業認定と、都収用委員会の収用裁決の取り消しを求めた「高尾山天狗(てんぐ)裁判」行政訴訟の判決が三十一日、東京地裁民事三十八部でありました。菅野博之裁判長は、圏央道事業で「得られる公共の利益は極めて大きい」として、住民らの訴えを棄却しました。
判決は、騒音や大気汚染など圏央道建設で予測される被害について「住民にとって、相当な不利益」としながら、国の環境影響評価結果を「適正」と判断。沿線で工事により絶滅危ぐ種のオオタカが営巣を放棄した事実を認めて「遺憾(いかん)である」としながら、「この事態を過大視することはできない」としました。
一方、圏央道建設で「交通混雑を緩和」「産業活動の活性化」など「公共の利益は極めて大きい」と、国の主張を丸のみし、事業認定と収用裁決を追認しました。
土地所有者以外の原告、自然保護団体の訴えは「原告適格を有していない」として却下しました。
天狗裁判原告団(吉山寛団長)と弁護団(鈴木堯博団長)は同日、千代田区内で記者会見し、「不当判決の一言に尽きる」(吉山氏)、「行政に追随した司法構造を一歩も出ない判決だ」(鈴木氏)と批判し、控訴する意向を表明しました。