2005年6月1日(水)「しんぶん赤旗」
国会の視点
民主党 審議拒否は何だったのか
郵政民営化法案の扱いをめぐり十日余にわたって審議拒否戦術をとってきた民主党が、三十一日の五党国対委員長会談を経て、審議に復帰することを決めました。
民主党は、同法案について、欠陥があるから「出し直すべきだ」と主張、それがいれられないことを理由に郵政特別委の設置を決めた五月二十日の衆院本会議を欠席したのを皮切りに、国会のすべての審議を拒否してきました。
五党国対委員長会談での復帰決定を報告した三十一日夕の同党代議士会では、「条件がきちんと満たされなければ、入ったはいいがすぐ強行採決されたらどうするんだ。ばかみたいなものだ」「ただ相手が走ってきたレールに途中から飛び乗るという話。国対委員長ははっきりしたけじめをどうつけるのか」などと、右往左往する国会戦術に異論が続出しました。
世論の批判集中
民主党の審議拒否戦術にたいしては、早くから世論の批判が集中しました。
各紙も、「審議入りする前から議論に背を向けるような行動は分かりにくい」(「朝日」二十四日付)、「審議拒否が長引けば長引くほど、『政権準備党』の看板は色あせ、『民主党政権』は遠のく」(「読売」同日付)と、民主党批判の社説をかかげました。
まだ審議が始まってもいない法案について、自分たちの意見がいれられないからと、入り口から議論を拒否するというのでは、話は前に進みません。
日本共産党の志位和夫委員長は二十日の本会議終了後、記者団の質問に答え、郵政民営化法案の反国民的な本質を厳しく批判するとともに、「徹底審議を通じて廃案にという立場でおおいにたたかっていきたい」と態度表明しました。
その後、日本共産党は、民主党とこれに同調した社民党が審議の場に姿をみせないなかで、自民、公明の与党と正面から対決する唯一の野党として、国会審議のあらゆる場に堂々と出席し、国会運営でも、郵政法案の審議でも、国民の立場から主張し続けました。
日本共産党は、国会が徹底審議を行い、国民の求める責務を果たすためにも、「民主党の審議拒否は道理がない」と率直に批判。その審議拒否戦術は「形の上では与党と民主党が『対決』しているようにみえるが、郵貯、簡保という国民にとってかけがえのない財産をつぶしていく点では、与党も民主党も同じ流れにある」(志位委員長、二十六日の衆院議員団総会)という本質も明らかにし、こうした態度は法案ごり押しをねらう与党を利するものでしかないことも指摘してきました。
「わかりやすい」
日本共産党の態度には、「共産党のほうがわかりやすい」(二十九日放映のサンデープロジェクト、司会の田原総一朗氏の発言)、「共産党の存在感をアピール」(「読売」三十一日付)などの見方も出されました。
今国会で、審議拒否、あいまいなままでの与党との妥協を繰り返してきた民主党の国会戦術。道理も、理屈も欠く民主党の行動は、国民の深い疑念をよびおこさずにおかないものです。(竹腰将弘)