2005年6月3日(金)「しんぶん赤旗」

首相参拝は靖国神社の戦争観に“お墨付き”与える

志位委員長が質問 中止の決断求める

首相「靖国の考え、政府とは違う」


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小泉首相の靖国神社参拝問題で質問する志位和夫委員長=2日、衆院予算

 「首相は、靖国神社がどういう戦争観を持つ神社かという事実をご存じなのですか」――二日の衆院予算委員会で、日本共産党の志位和夫委員長は、深刻な日本外交のゆきづまりの根源にある過去の戦争や植民地支配にたいする日本政府の姿勢、とりわけ小泉純一郎首相の靖国参拝問題をとりあげ、首相の姿勢をただしました。

 志位氏は、靖国神社の中心的な刊行物である『靖国神社 遊就館図録』に同神社の宮司が書いている「ご挨拶(あいさつ)」で、日本の過去の戦争を「自存自衛」のための戦争、「アジアの解放」のための戦争と、むき出しの形で「日本の戦争は正しかった」という戦争観をのべていること(別項参照)をあげ、首相の認識を問いました。

 首相は、「靖国神社がそのような考えをもっていろいろな発言をしていることは承知している」と答えました。

 志位氏は、首相自身が四月のアジア・アフリカ首脳会議(ジャカルタ)でのべた過去の戦争への「反省とお詫(わ)び」の言葉と靖国の戦争観が両立するものではないこと、『靖国神社 遊就館図録』では日本がたたかった反ファッショ連合国の側に責任を押し付ける主張を行い、その攻撃の矛先はアジア諸国だけでなくアメリカにも向けられていることを指摘しました。これにたいし小泉首相は、「靖国には靖国の考えがあるだろうが、これは政府と同じではない」、「参拝する当人が靖国神社の考えを支持しているとは考えないでほしい」と答えました。

 理を尽くして、さとすように首相に語りかける志位氏。委員会室は静まり返って、二人のやりとりにききいりました。

 志位氏は、靖国神社が、自らの「使命」は「英霊の武勲の顕彰」だとしていることをあげ、「靖国神社は、『日本の戦争は正しかった』という侵略戦争正当化の戦争観をもち、戦争行為そのものをたたえることを『使命』とする神社だ」と強調。「首相が靖国を参拝することは、この戦争観に、日本政府公認というお墨付きを与えることだ」として、首相に真剣な検討を求めました。

 首相は、「私は靖国神社に参拝することによって戦争を正当化する考えはない」とのべました。

 志位氏は、首相が答弁を通じて、靖国神社がこうした戦争観をもって行動していることを否定できなかったことをあげ、「首相が問題の重大性を真剣に考慮し、靖国参拝中止の決断をすることを求める」とのべました。

 【関連記事】志位委員長の質問(大要)

『靖国神社 遊就館図録』から

 靖国神社 湯澤貞宮司の「ご挨拶」から

 「近代国家成立の為、我国の自存自衛の為、さらに世界史的に視れば、皮膚の色とは関係のない自由で平等な世界を達成するため、避け得なかった戦ひ」

 「英霊の武勲、御遺徳を顕彰し、英霊が歩まれた時代である近代史の真実を明らかにするのが遊就館の使命であり、眼目であります」

 「大東亜戦争 避けられぬ戦い」から

 ルーズベルトの世界戦略 アメリカの大戦参加

 「大不況下のアメリカ大統領に就任したルーズベルトは、昭和十五(一九四〇)年十一月三選されても復興しないアメリカ経済に苦慮していた。早くから大戦の勃発を予期していたルーズベルトは、昭和十四年には、米英連合の対独参戦を決断していたが、米国民の反戦意志に行き詰まっていた。米国の戦争準備『勝利の計画』と英国・中国への軍事援助を粛々と推進していたルーズベルトに残された道は、資源に乏しい日本を、禁輸で追い詰めて開戦を強要することであった」


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