2005年6月4日(土)「しんぶん赤旗」
主張
靖国問題質疑
戦争正当化しないというなら
日本共産党の志位和夫委員長は、二日の衆院予算委員会で、靖国神社問題を取り上げ、小泉首相に「参拝中止の決断」を求めました。
靖国神社がどのような戦争観を持って宣伝しているかを具体的に明らかにした志位氏の質問にたいし、小泉首相は、靖国神社と政府の考えは「同じではない」、「戦争を正当化する考えはない」「誤解しないで」という言葉を重ねました。戦争を正当化しておらず、正当化していると「誤解」しないでほしいと本気で考えているなら、靖国神社の参拝を中止すべきです。
「政府と同じでない」と
志位氏は、『靖国神社 遊就館図録』の冒頭に、太平洋戦争について「我国の自存自衛の為…自由で平等な世界を達成するため、避け得なかった戦ひ」だとする靖国神社宮司のあいさつが掲載されていることを紹介。こういう歴史観、戦争観をもった神社だと知っているのかと質問しました。
これにたいして、小泉首相は「承知している」と答弁。志位氏は、侵略戦争を「自存自衛」と正当化する戦争観を持つ神社であることを知ったうえで参拝していることの重大性を指摘し、政府の公式の立場と両立するのかとたずねました。
小泉首相は、四月のアジア・アフリカ首脳会議で、一九九五年の「村山首相談話」を踏襲して、日本が行った「植民地支配と侵略」について「痛切なる反省と心からのお詫(わ)び」を表明しています。この「反省」が「心からの」ものなら、日本が行った侵略戦争を「自存自衛」―アジア解放のための正しい戦争だったという靖国神社の戦争観とは両立しようがありません。
そのため、小泉首相も、「靖国神社の考え方」は「政府と同じものではございません」と答えました。
志位氏は、太平洋戦争開戦の責任をアメリカ政府に押しつける靖国神社の主張を示し、重ねて、小泉首相の認識を問いました。
小泉首相は、「さまざまな議論がある」と言いつつ、「戦没者にたいする追悼の念をこめて参拝している人は多い…。私は、靖国神社に参拝することが靖国神社の考えを支持しているんだと、とらないでいただきたいと思っております」と述べました。
「戦没者の追悼」という言葉が出てきたので、志位氏は、「英霊の武勲の顕彰」を「使命」としているのが靖国神社であり、「追悼」ではないと指摘。戦争正当化の立場から戦争行為そのものをたたえているのが靖国神社であり、首相の参拝は「侵略戦争を正当化するこの神社の戦争観に、日本政府の公認というお墨付きをあたえることになる」と、靖国問題の中心点を問いただしました。
小泉首相は、「靖国神社を参拝することによって戦争を正当化するつもりはまったくありません。そこを誤解しないでください。…日本は戦争を起こしたわけですから、戦争責任は日本にある。…二度と戦争をしてはならない、そういう気持ちで靖国神社に参拝」していると答えました。
参拝を中止すべきだ
志位氏から、侵略戦争を正当化する靖国神社の実態を具体的に示されたのにたいし、小泉首相は、何ひとつ、それを「正しい」と言うことはできませんでした。事実を認識するなら、首相の靖国神社参拝が侵略戦争正当化になることは明白です。二度と戦争をしない決意を示すなら、参拝を中止する以外ありません。