2005年6月6日(月)「しんぶん赤旗」

郵政法案の狙い

340兆円を銀行・外資へ

NHK討論 小池政策委員長が指摘


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「日曜討論」で発言する小池晃参院議員=5日、NHKテレビから

 日本共産党の小池晃政策委員長は五日、NHK番組「日曜討論」に出演し、郵政民営化問題や少子化問題について各党と討論しました。出席は自民・与謝野馨、民主・仙谷由人、公明・井上義久各政調会長、社民・阿部知子政審会長。

郵政民営化問題―
全国均一サービス維持のまやかしを批判

 郵政民営化の利点について、与謝野氏は「公社の眠れる資源を活用する」などとのべました。

 これに対し、小池氏は「『眠れる資源』といったがまさに三百四十兆円の莫大(ばくだい)な資金を銀行や生保、外資がわが物にしたいというのが法案の最大の狙いだ。全国銀行協会も“もはや国有で維持する理由はない”といっている。アメリカ政府も規制緩和要求として“民間と同一のルール”と民営化を要求している」と指摘しました。

 井上氏は「(郵貯、簡保の)金融は官業でやる必要がなく市場に投入して有効に使う」とあからさまにのべました。

 仙谷氏は「(郵貯・簡保資金の)削減計画も持たず株式会社にしても経営は困難だ」「資金を官的なところで活用するのではいままでと一切変わらない」とのべ、郵貯・簡保の資金の民間開放を徹底する立場から政府案を批判しました。

 また、郵便局の設置基準の問題について井上氏が「郵便は法律でユニバーサル(全国均一)サービスを義務付けた」とのべたのに対し、小池氏は「いまのはまやかしだ。都市部は統廃合が進むとはっきり国会で(小泉首相が)答弁している。法案に全国で維持する歯止めはない」と反論。

 これに与謝野氏は「お客がいなくなった郵便局をやめるのは当たり前」と減少を認めました。

 小池氏は「郵政三事業一体で健全経営しているのに、バラバラにしたら体力がなくなるのは当然だ。予防医学というが元気な人を切り刻んで『予防』とはいわない」と批判。海外の例からみても破たんが証明されているやり方に突き進むのは無責任だとのべました。

少子化問題―
子育て世代の負担増、長時間労働 現状に逆行

 二〇〇四年の合計特殊出生率が1・29(1・2888)と過去最低の前年をさらに下回ったことが議題になり、与党は「短期的には影響ない」(与謝野氏)、「年金改革が揺らいだというのは筋違い」(井上氏)と危機感のなさを示しました。

 小池氏は与党側の認識について「甘すぎる」と批判。フリーターなど若年層の非正規雇用の激増で国民年金納付率も厚生年金加入率も低下しており、「現在と将来の年金の支え手を減らす悪循環が深刻だ。現実の最重要課題として向き合うべきだ」と指摘しました。

 与謝野氏は「なぜ子どもを産まないのか本当の原因が分からない」と吐露しつつ、社会保障費が「ほうっておくといくらかかるか分からない」とのべ医療費など社会保障費抑制を示唆しました。

 小池氏は「子育て世代の経済負担軽減は大事だが、この間の負担増で三十歳代で子ども一人の年収四百万円台世帯で計算すると、八万四千円の増税になり、年金や雇用保険、医療保険料を合わせると二十一万九千円の負担増になる」と紹介。

 また、男女ともに子育てに責任をもてる働き方という点でみると、三十四歳以下のサラリーマンが職場にいる平均時間が十一時間十六分で長時間労働が横行しており、「少子化対策といいながら子育て世代の負担を増やし、子育てできないような労働政策を進めて少子化対策に逆行している。これをやめるのが大事だ」と提起しました。


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