2005年6月8日(水)「しんぶん赤旗」
“宝の海かえせ”
諫早干拓工事再開に抗議 漁民ら座込み
有明海沿岸四県の漁民ら約三百人は七日、諫早湾干拓(長崎県)の工事再開に抗議して、工事車両が出入りする干拓地ゲート前で座り込みました。
一審の工事差し止め決定を取り消した福岡高裁と、工事再開の準備を進める農水省に対し漁民は激しい怒りで、未明から続々と集まりました。
長崎地方は七月上旬の暑さ。容赦なく太陽が照りつけるもと、「宝の海をかえせ」のはちまき、日焼けした顔がゲート前を埋めます。
熊本市のノリ漁民木村茂光さん(69)は「福岡高裁も中長期開門調査をせんといかんといっているのに、工事をするとはなんばするとか。有明海を殺す気ですか」と怒りの声をあげました。
諫早干潟緊急救済本部の山下八千代代表ら市民団体、各県の県労連などが続々と激励に駆けつけ、座り込みに加わりました。
工事中の干拓地約七百ヘクタール、かつては干潟と海だった広大な土地が広がります。工事現場の境界には普通のフェンスではなく有刺鉄線が。
漁民はいいます。「これだけで、この工事が普通じゃないことがわかります。工事再開するなら、何度でも座り込む」
福岡県のノリ漁民荒巻弘吉さん(64)は「きょうは工事車両が入らなかった。それだけで来たかいがあった。漁民原告を増やすことが、最高裁にも、農水省にも怒りを示すことになる」と語りました。