2005年6月8日(水)「しんぶん赤旗」
労働審判制度とは?
〈問い〉 労働審判制度とはどういう制度ですか。共産党はどう考えていますか?(大阪・一読者)
〈答え〉 労働審判制度は、解雇や賃金不払いなど労働者個人と使用者とのあいだの紛争を速やかに解決することを目的に、2006年4月からスタートする制度です。
全国50カ所の地方裁判所に、職業裁判官(労働審判官)1人と、労働者側、使用者側が推薦する各1人の労働審判員の3人で構成される労働審判委員会が置かれます。
労働者または使用者の申し立てで審理が始まり、審理は3回以内で、審理の上、紛争解決案を決定(労働審判)します。その間に話し合いで解決をめざす調停手続きも可能です。当事者が合意すれば調停で解決することもできます。
この審判に対して2週間以内に当事者から異議が出ない時は確定します。調停や審判は裁判上の和解と同じで強制力を持ち、強制執行ができます。異議が出されたときは、地方裁判所の通常の裁判手続きに移行します。
事件が複雑で争点が多く、3回の審理で終了する労働審判にふさわしくなく、裁判で行うことが妥当と労働審判委員会が判断する事件は、審判手続きをせず、訴訟に移行することもできます。
最近、解雇、賃下げなど個別的労働紛争が増え、都道府県の労働局へのあっせん申請も増加していますが、相手方が応じないなどで半数が解決できないのが実情です。労働審判制度は、裁判外手続きですが、裁判所の手続きであり、相手が応じなくても手続きがすすめられるなどあっせん制度とは違います。
この制度は労働裁判の改善を求める世論のもと、司法制度改革の一つとして実現しました。
この制度が広く活用され、権利侵害の早期解決を要望する労働者の期待に応えられるかが重要です。そして、この制度の経験を通じて、将来、労働裁判に国民が参加する参審制度の実現も考えられるべきでしょう。(亮)
〔2005・6・8(水)〕