2005年6月8日(水)「しんぶん赤旗」
“メイちゃん”山に帰る
埼玉・秩父
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埼玉県秩父市(旧大滝村)で昨年五月に保護された国の特別天然記念物ニホンカモシカの雄の赤ちゃんは一年間で大きく育ち、六日、山に放たれました。県の依頼で飼育していた日本共産党市議で民宿「中津屋」を営む山中進さん(56)と妻の三千恵さん(56)は別れを惜しみつつ、山での無事な生活を祈りました。
ニホンカモシカは衰弱しきった状態で発見されましたが、山中さん夫妻の懸命な世話で元気になりました。「メイ」と名づけられ、ぐんぐん成長。体長三十センチ、体重二キロほどだったのが一メートル、四十キロほどまでになりました。
後ろ足の弱さが心配されましたが、「えさをとるなどの日常生活に支障はないだろう」と判断、山中さんは五月に一度、近場に放してみましたが戻ってきてしまい失敗。二度目の今回は数十キロ山奥の、鳥獣保護区域に放つことにしました。
三千恵さんは「心配は尽きないけど、ひもにつなげられた不自由な生活よりも、厳しくとも自然の中で生きる方がメイちゃんのため」と語っていました。