2005年6月9日(木)「しんぶん赤旗」
「貧困率」って?
〈問い〉5月23日付2面「主張」にあった貧困率についてもっと詳しく説明してください。(東京・一読者)
〈答え〉「主張」で取り上げた貧困率は、OECDの報告「所得格差と貧困」(2月)で公表されている数字です。
OECDは、国民の標準的な所得の半分を基準にして、それを下回る所得しかない人を「貧困」とみなしています。
各国の標準所得の設定に使われているのは、所得の「平均値」ではなく「中央値」です。
所得の「中央値」とは、国民を所得順に並べたときに真ん中になる人の所得額です。
厚労省の国民生活基礎調査によると、日本の一世帯当たり年間所得の平均値は590万円、中央値は476万円です(02年)。OECDの貧困率の算出方法に従えば、中央値の半分―238万円より所得の少ない世帯の割合が貧困率となります。OECDは、世帯単位の所得を個人単位に推計し直して貧困率を計算しています。
OECDのほかEU(欧州連合)なども、貧困率の指標を重視しています。
1998年に経済企画庁(現・内閣府)の研究所が発表したリポート「日本の所得格差」は、日本は国際的に見て「平等な国」だという根拠の一つに、この貧困率をあげました。80年代半ばの日本の貧困率は、世界でも平等度が高い北欧並みだと分析しました。
日本はアメリカと並んで貧困率が高いグループに属すると指摘した今回のOECDの報告も、日本の不平等化が、90年代を通して大きく進んだことを示しています。(平)
〔2005・6・9(木)〕