2005年6月10日(金)「しんぶん赤旗」
30回目の公害被害者総行動
“地球環境 守ろう”
|
「なくせ公害、守ろう地球環境」―三十回目を迎えた全国公害被害者総行動デー(同実行委員会主催)が九日、東京都内で二日間の日程で始まりました。環境省、農水省など省庁への申し入れやデモ行進をおこないました。
水俣病関西訴訟最高裁判決や川辺川利水訴訟などの勝利判決が続く一方で、諫早湾干拓工事続行禁止を命じた佐賀地裁の判断を覆す福岡高裁の決定や高尾山にトンネルを掘る事業認定の取り消しを求めた高尾山天狗裁判の請求棄却など、公害対策の動きに逆行が生じるなかで行われました。
森脇君雄・代表委員らは、すべての公害被害者の救済、公害健康被害補償法の運用強化・拡充などを盛り込んだ、「なくせ公害、守ろう地球環境」の声を実現するための国民署名、五万三千五百九十二人分を高野博師環境副大臣に手渡しました。高野氏は「みなさんの意見を踏まえて、公害問題と環境対策が前進してきたことを再確認した」とのべました。
篠原義仁・全国公害弁護団代表委員は、不当判決は「一時的な後退現象で、歴史に逆行する流れがおこっている。しかし、私たちの運動で逆流をおしかえし、さらに前進をはじめよう」と訴えました。
年内結審をむかえる東京大気汚染公害裁判原告団の繁野義雄副団長は、「東京の自動車排ガスによる大気汚染は深刻。幹線道路沿道だけでなく全域がまったなしの状況です。なんの救済も受けていない未認定ぜんそく患者は、高額な医療費を負担できない。将来をになう子どもたちにこの汚れた空気を残すわけにはいきません」と決意をかたります。
同実行委員会は東京地裁に、自動車メーカーの加害者責任を明らかにし、全面救済判決を求める署名約十九万人分を提出しました。
夜には、日比谷公会堂で総決起集会を開き、二千五百人の参加者は「二十一世紀を真に平和と環境の世紀にと願う国民のみなさんと共に運動の輪を広げよう」と、集会アピールを採択しました。
集会には、日本共産党の市田忠義書記局長・参院議員らからメッセージが寄せられました。