2005年6月10日(金)「しんぶん赤旗」
首相の靖国参拝は政府公式見解の自己否定に
志位委員長が会見
日本共産党の志位和夫委員長は九日、国会内で開いた記者会見で、小泉純一郎首相の靖国神社参拝問題について次のようにのべました。
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一、この一カ月余りで、情勢が大きく変わりつつある。自民党のなかからも、参拝の再考を促す声が相次いでいる。河野洋平衆院議長が歴代首相五人と会合し、その後、小泉首相に、「慎重な上にも慎重に」と求めた。大手マスコミが、相次いで「社説」で参拝中止を求めている。国民世論でも、半数ないし半数以上が「中止すべき」と回答するなど、変化が明りょうになっている。首相はこの流れを、真摯(しんし)に受けとめるべきだ。
一、先週の衆院予算委員会の質疑で、私は、靖国参拝は、この神社の侵略戦争正当化の戦争観にお墨付きを与えることになるとただした。首相は、「靖国の立場は、政府の立場と違う」とのべたが、同時に参拝に固執する態度を崩さなかった。これはまったく矛盾した態度だ。
一、靖国神社の宮司がその刊行会に参加している、靖国神社公認の「写真集」―『世界に開かれた「昭和の戦争記念館」』をみると、さらにむき出しの侵略戦争礼賛の異常な立場がのべられている。
重大なことは、このなかで一九九五年の村山首相談話を「嘘(うそ)と誤り」と攻撃していることだ。村山談話で認めた「植民地支配と侵略」が事実無根の「嘘と誤り」だったとのべている。「あとがき」では、この「写真集」を出した動機として、この発想が生まれたのは「平成七年の『歴史認識をめぐる激動の年』からであった」として、“靖国史観”派が、村山談話に激怒し、このキャンペーンを始めたことをみずからのべている。
政府の立場、首相の立場を「嘘と誤り」と攻撃しているのが靖国神社の立場だ。ここへの首相参拝は、「嘘と誤り」にお墨付きを与える。すなわち政府の公式見解を自己否定することになる。首相に重ねて参拝中止の決断を求めたい。