2005年6月10日(金)「しんぶん赤旗」
風力発電拡大で要求
買い取り量の引き上げ必要
市田書記局長
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北海道・東北・九州の電力三社の風力発電の買い取り枠三十三万キロワットに対し、入札に応募した電力量は二百四万キロワット(二〇〇三年)にのぼり、買い取り義務量の低さが風力発電の拡大を抑えている構図が、九日の参院環境委員会でうきぼりになりました。
日本共産党の市田忠義議員が質問でとりあげたもの。市田氏は、政府の風力発電の目標量・率が低いことにより、各電力会社の買い取り義務量も低くなり、結局、自治体や第三セクターを含む多くの事業者が風車の計画や新規建設を見送らざるをえなくなっていると指摘しました。
EU(欧州連合)では「EU指令」で自然エネルギーの占める比率を二〇一〇年に22%に引き上げる目標をたてていますが、日本の「新エネルギー利用特措法」では同年1・35%と極めて低い目標です。
市田氏は、デンマークやドイツなど自然エネルギーの導入に成功している国は風車の八割以上が協同組合や個人所有なのに対し、日本では九割を電力会社、株式会社が占めていると指摘(表参照)。自然エネルギー利用目標比率を引き上げ、電力会社の買い取り義務量を大幅に拡大し、市民団体、個人が参入できるように支援すべきだと求めました。
小池百合子環境相は「京都議定書目標達成計画」にもとづき「新エネルギー利用特措法」の見直しをすすめるので、そのなかで検討していくとのべました。
風力発電設備・導入実績(2005年3月末現在)
設置者 | 設置個所数 | 総出力(kW) | 割合(%) |
電力会社(単独) | 35 | 15,675.50 | 1.69 |
株式会社(電力会社共同も含む) | 141 | 811,381.50 | 87.57 |
地方自治体(都道府県・市町村) | 94 | 82,131.50 | 8.86 |
その他(大学、研究機関、市民) | 21 | 17,386.50 | 1.87 |
累積出力総計 | 926,575.00 | 99.99 |
温暖化対策法改正案が可決
共産党が修正案
温暖化ガスを多く排出する事業所などに排出量の算定・報告を義務付ける地球温暖化対策推進法改正案が九日、参院環境委員会で全会一致で可決されました。
同改正案は、温暖化ガスを一定量(年間CO2三千トン)以上排出する事業者に、排出量の算定・報告・公表制度を導入。国内の排出全体の八割を占める産業・公共分野の実態把握や検証に役立つとともに、今後の排出削減の基盤ともなります。
日本共産党は報告・公表制度を温暖化ガスの削減に確実に結びつけるための修正案を提出。同案は▽温暖化ガス削減の長期目標の設定▽地方自治体を経由した排出量の報告制度▽排出状況の国民への原則公開▽国と産業界との協定化―などを求めています。同案は賛成少数で否決されました。