2005年6月11日(土)「しんぶん赤旗」
トヨタ本社を包囲
公害被害者ら
救済制度創設求める
自動車排ガス公害の責任を自動車メーカーに取らせようと、東京大気汚染公害訴訟の原告のぜんそく患者や全国から集まった約六百人が十日、トヨタ東京本社(東京・千代田区)を包囲。公害被害者らの怒り、病気の苦しみを訴えました。
同訴訟原告団の石川牧子さん(49)=東京都小平市=は「二十七年前、ぜんそくの発作におそわれ、危篤状態になったこともある。トヨタは、大気汚染公害の社会的責任をどう思っているのか。私たちが病気で苦しみ、死んだ人もいるのに…。経営陣は、自分自身が公害の被害者にはならないとでも考えて、公害の原因の自動車を売っているのか」と批判します。
同本社との交渉では、自動車メーカーが財源を負担し、新たな被害者救済制度を創設することなどを求めました。
同訴訟弁護団の西村隆雄弁護士は、トヨタは日本国内の被害者救済に一切の責任を果たそうとせず、繁栄をおう歌しているのが現実だとのべ、「何としてもトヨタの法的責任を断罪し、社会的責任を果たさせる」と決意を表明。西順司原告団長(72)も「必ずこの手に勝利をつかみ取りたい」と訴えました。
大阪市西淀川区から参加した西淀川大気汚染公害訴訟原告団の永野千代子さん(65)は、裁判で幹線道路から五十メートル以内ということで慢性気管支炎の公害病被害が認められた一人。本社前でマイクをにぎり、「国道2号線、43号線の公害道路からいまも自動車排ガスを巻きちらしている。きれいな空気を胸いっぱい吸いたい。発作に苦しまず、夜ぐっすり眠りたいという気持ちをわかってほしい」と訴えました。
トヨタをはじめ自動車メーカー七社の責任を問う同裁判の判決(二〇〇六年)を前に、九日から始まった第三十回全国公害被害者総行動デー(公害総行動)として取り組まれたもの。「ディーゼル車対策共闘会議六・一〇トヨタ東京本社包囲行動実行委」が共催しました。