2005年6月14日(火)「しんぶん赤旗」
東京都議選へ向けての志位委員長の演説から
日本共産党の志位和夫委員長は、東京都議選に向けた十二日の都内二カ所での訴えで、強権・独断的な都政運営をし、都民いじめの悪政を進めてきた石原慎太郎都知事と、それを支え続けた自民、公明、民主、生活者ネットの「オール与党」を厳しく批判するとともに、日本共産党都議団の果たしている役割を縦横に語りました。その中で浜渦副知事問題、民主党についてふれた部分を紹介します。
浜渦問題にもしめされた「オール与党」政治の害悪
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今度の都議選で、自民党と民主党は、「二大政党の選択」が焦点だといっています。しかし現実の焦点はそこにあるのではありません。都政では、自民党、民主党、公明党、生活者ネット――日本共産党以外のすべての政党が、石原都政の与党、「オール与党」になっています。「オール与党」か、日本共産党か――ここに選挙戦のほんとうの対決軸があります。
「オール与党」の政治の害悪というのは、この間おこった浜渦問題でもしめされました。石原知事の側近中の側近といわれた浜渦副知事が、社会福祉総合学院の運営に関し、民主党に質問を依頼した。浜渦氏は証人喚問で質問依頼を否定し、それが偽証と認定され、辞職においこまれた。連日、テレビや新聞で報道されています。
問題の本質は――石原知事の強権政治の破たん
この問題の本質はどこにあるでしょう。私は、浜渦問題の本質は、ずばり石原問題であると思います。報道によると、石原知事は、週に二、三日しか都庁に登庁しない。出勤しても庁舎にいる時間は二、三時間だということです。そうしますと一週間でだいたい数時間しか庁舎のなかで仕事をしていないということになる。石原知事がどれだけ給料をもらっているかを調べてみたら年間二千七百九十五万円。ざっと計算すると時給十万円ということになります。(驚きの声)
その名代として、浜渦副知事に異常な権限が集中しました。都庁のなかではこういわれているそうです。「浜渦氏に面会するには電話ではダメ。局長も浜渦氏に手紙を書いている。だから庁内では『お手紙』という言葉が流行している。ミスをすると『わび状』をもとめられる」。石原知事が、側近の専横をまねき、異常な強権政治を横行させた。それが破綻(はたん)したのが今回の問題です。知事の責任はきわめて重いのではないでしょうか。(拍手)
知事の責任には指一本触れようとしない「オール与党」
そこで、日本共産党都議団は、先日の都議会で、石原知事に猛省をもとめる問責決議案を提起しました。ところが自民党、公明党、民主党、生活者ネットが反対し、にぎりつぶしてしまった。「オール与党」は、知事の責任には指一本触れようとしないのです。それどころか、知事が副知事などを更迭したことで一件落着とし、「英断を高く評価する」とほめちぎっています。
民主党にいたっては、石原知事・浜渦副知事側から「やらせ質問」をもちかけられ、自民党にひそかに相談し、「やらせ質問」をおこないました。ですから、この党は、石原知事の問責決議案に反対しただけでない。浜渦副知事の問責決議にたいしても、他の政党が賛成するなかで、ただ一党反対し、公然と浜渦副知事擁護にまわったのです。そこまで癒着が深いのです。
石原知事がどんな専横・強権政治をやろうと、自民党、公明党、民主党、ネットのだれも異を唱えず、責任も問おうとしない。ここにも「オール与党」の害悪があらわれているではありませんか。(拍手)
知事が横暴勝手を働いたときには、どんな問題でも正面から堂々と間違いをただしてきた日本共産党都議団をのばすことこそ、都民の手に都政をとりもどす一番の力になるのではないでしょうか。(大きな拍手)
民主党は「悪いときにブレーキ」を一度でも踏んだことがあるか
自民党と民主党は「二大政党の選択」といいますが、いまお話ししたように、都政ではどんな問題でも「オール与党」として、悪い政治をいっしょに推進しています。国政でも、憲法改定、消費税増税、介護保険の改悪など、悪い政治を二人三脚ですすめています。「どちらかを選べ」といわれても、違いはどこを探してもありません。
石原知事の提案には何でも賛成――これが四年間の動かせない事実
その民主党が選挙が近づいて、何をいっているでしょう。民主党の岡田代表は、六月八日に東京でおこなった演説で、こういいました。「石原知事をチェックするのが都議会の役割だ。いいときはアクセルを踏み、悪いときはブレーキを踏む。それを踏みわけることができる政党が、都議会における民主党だ」。私は、これを聞いてあぜんとしました。いったい、都議会民主党が、「悪いときにブレーキ」を踏んだことが一度でもあったでしょうか。
あらためて調べてみますと、都議会民主党は、この四年間の任期中、石原知事提出のすべての予算案・補正予算案に賛成しています。すべての福祉と暮らし切り捨ての議案に賛成しています。無駄遣いの議案で反対したものはただの一つもありません。「日の丸・君が代」強制を知事と一緒になって推進しています。そして、知事がおこなった数々の妄言のただの一つも批判したことはないではありませんか。(拍手)
選挙の時だけ野党のふりをするのは、都民をあざむく姿勢
「悪いときにブレーキ」どころか、悪い政治にすべてアクセルを踏みつづけてきた民主党、知事サイドから頼まれて「やらせ質問」までやっていた民主党が、チェック機能を果たしているなど、よくいえたものであります。
都議会民主党は正真正銘の与党であります。私はいいたい。与党なら与党らしく正直に選挙をたたかうべきではありませんか(拍手)。選挙の時だけ野党のふりをするのは、都民をあざむく姿勢ではないでしょうか。(大きな拍手)
「オール与党」には、都政の未来はたくせません。どうか日本共産党をのばして、都民が安心して暮らせる東京、明日に希望をもてる東京をつくろうではありませんか。(大きな拍手)