2005年6月15日(水)「しんぶん赤旗」

台湾先住民が抗議

先祖を靖国にまつるな

植民地時代に徴兵


写真

靖国神社に近づけず、バスの前で抗議の声を上げる高金素梅さん(左)ら=14日、都内

 日本の植民地下に置かれ、第二次世界大戦で「高砂義勇隊」として駆り出され戦死した台湾の先住民の遺族ら約六十人が十四日、東京都千代田区の靖国神社で、合祀(ごうし)に抗議し、霊を持ち帰るための伝統儀式を行おうとしましたが、警察に阻止され実現しませんでした。

 同神社には、早朝から右翼団体が駆けつけ、神社が用意した「英霊及び靖国神社を誹謗(ひぼう)・中傷する者の境内の立ち入り禁止」などと書かれた看板の横に立ちはだかりました。

 民族衣装に身を包んだ先住民らは、大型バス二台で同神社近くに到着。しかし、警察が「安全」を理由に、大部分の先住民の降車を阻止し、一時間半にわたってバスの中に閉じ込めました。

 タイヤル族の台湾立法委員の高金素梅(チワス・アリ)さんは、「先住民は当時、人間としての扱いを受けなかった。祖先の霊を取り戻しにきただけだ」と涙ながらに抗議。「台湾の先住民は日本人ではない」とバスの中から唱和が起こりました。

 その後、一行は同区内の弁護士会館前で記者会見。タイヤル族のワタン・タンガさん(76)は、日本語で「日本軍は原住民を討伐し続けた。政治、経済、文化、軍事にわたる支配下で苦しんできた。靖国神社に祭られることに合意しない」と訴えました。ブヌン族のジャン・イシパパナルさん(55)は、「犠牲者の霊を鎮めるのは私たちの手でしかできない。このような目に遭い、非常に苦痛だ」と述べました。

 日本は一八九五年から五十年にわたり台湾を植民地化。先住民は「高砂義勇隊」として南方最前線などに送られ、多数の死者を出しました。靖国神社には、二万七千八百人分の台湾人元軍人軍属が合祀されています。

 今回来日した台湾の遺族ら二百三十六人は、小泉首相の靖国神社参拝によって遺族の宗教的人格権が傷つけられたとして二〇〇三年二月に大阪地裁に提訴。十七日に大阪高裁で結審が予定されています。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp