2005年6月16日(木)「しんぶん赤旗」
すべて元本割れの危険
民営化後の郵貯銀「新規事業」
竹中担当相、認める
佐々木議員追及
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「庶民の零細な貯金が投機的資金運用で食い物にされる」―小泉純一郎首相が出席して質疑をおこなった十五日の衆院郵政民営化特別委員会で、日本共産党の佐々木憲昭議員は、赤字続きが予想される郵便貯金銀行が新規事業として、元本保証のない資金運用を想定し、そこで利益をあげようという政府の計画の無謀さを追及しました。
「庶民の貯金 食い物に」
小泉首相は「公社であるかぎりリスクのある資産運用ができないが、民間になればそういう点で経済的に活性化する」とのべ、国民の資産をリスク(危険)にさらすことを容認する姿勢を示しました。
分割・民営化会社の一つである郵便貯金銀行の経営の見通しについては、二〇一六年度の収支が六百億円の赤字になり、以降も赤字続きになることが、政府の試算でも明らかになっています。一方、郵政公社が続いた場合は、納付金を納めた後でも、六百九十二億円の黒字となります。
そこで政府が出してきたのは「新規事業で収益があがる」という理屈です。その新規事業とはどんな内容か。佐々木氏は、政府(郵政民営化準備室)の資料を示しました。そこには、「段階的に貸付その他の信用リスクを取る業務を拡大し」、その残高を「三十五兆円」にするとあります。
運用先としてあげているのは、「貸付、シンジケートローン、私募債、株式、クレジット・スワップ、債権買収…」など。もうかる時は大きいが失敗すれば大損することもある投機的性格の強い金融商品も含まれています。竹中平蔵郵政民営化担当相は、例示した事業のなかで「元本割れしないものはない」と認めました。
佐々木氏は、「国民が求めているのは、貯金を危険にさらすのではなく、堅実で安心できる運用をしてほしいということだ」と指摘。「三十五兆円もの資金運用の大半を、投資顧問会社や金融機関などにゆだねる以外にない。運用に失敗して破たんしたら、サービスもズタズタになり、国民の税金も投入しなければならない。結局、郵貯・簡保など三百四十兆円の国民の資産を、日米の巨大な資本に明け渡すことになる」と批判しました。