2005年6月18日(土)「しんぶん赤旗」
主張
介護保険改悪法案
施設も住宅も不安がつのる
自民、公明、民主の各党の賛成で参院厚生労働委員会で可決した介護保険改悪法案は、特別養護老人ホームなどの施設利用者から「ホテルコスト」の名で居住費、食費(現行の一部から全額に拡大)を徴収し、軽度者が利用する介護サービスを制限する内容です。
政党の姿勢が問われる
日本共産党は、「改革」の名に値しないと反対しました。国の社会保障支出を削減するために、給付の削減と国民負担増ばかりを押しつける法案だからです。
施設利用者の居住費と食費負担の徴収は、十月からの実施予定です。参考人からも「ホテルコストの徴収はほとんどの施設入所者に知らされていない。こんな拙速な法案は通すべきではない」との声があがりました。年金収入が七万円ぐらいの場合、居住費、食費、利用料の合計が八万五千円となり、政府も「負担が非常に重くなる」と認めています。
法案に賛成した政党は、在宅と施設とのバランスから「負担を求めるのはやむを得ない」(民主党)とホテルコストを正当化します。しかし、居住費や食費の負担増は、施設入所者だけでなく、在宅介護のショートステイやデイサービスの利用者にも押し付けられます。
食事代の負担増で、“毎日でも通いたい”と楽しみにしているデイサービスの回数を減らさざるを得なくなります。十日のショートステイなら入所者の一カ月の居住費・食費の三分の一の負担が求められます。“バランス”といいながら、在宅介護にも大きな負担とサービスの削減を強いるのがホテルコスト導入です。
新予防給付の導入も、何の根拠もありません。「予防重視型システムへの転換を主導した」(公明新聞二月二十二日付)という公明党は、「軽度の要介護者の重度化が進んでいます…介護サービスは…改善に結びついていない」(二〇〇四年四月三日「介護予防10カ年戦略」)といってきました。
法案提出の理由として、小泉首相をはじめ政府が繰り返してきた説明と同じです。
しかし、日本共産党議員の質問で「改善に結びついていない」という説明が、まったくのうそであることが明らかになりました。厚生労働省の資料でも、要介護1の八割以上が居宅サービスによって状態が維持・改善しているからです。家事代行サービスの使いすぎで状態が悪化した例もあげることができません。
予防を隠れみのにして、軽度者の給付を抑制するというのが「新予防給付」の本質です。
自民、公明、民主の各党は附帯決議に、保険料を若年層からもとる、保険料徴収年齢の「範囲の拡大」の検討を、二〇〇六年度末までに結果が得られるよう新たな場を設けることを盛り込みました。負担増となる二十―三十九歳の若い世代の雇用と収入が不安定になっており、滞納や制度の空洞化を推進するものです。
引き続きたたかいを
介護保険改悪法案は委員会で可決されたものの、まだ成立していません。悪法を押し通すための国会会期延長は許せません。引き続き、国会内外でのたたかいを広げていきましょう。
日本共産党は法案に反対するとともに、低所得者に重い負担となっている保険料や利用料を、収入に応じた負担能力に改めることや在宅や施設の基盤整備の拡充、介護労働者の労働条件の改善など、より良い介護保険にするために力を尽くします。