2005年6月20日(月)「しんぶん赤旗」
侵略戦争正当化の教科書採択
請願に賛成 自・公・民
東京都内
“子どもに渡せない” 共産党は不採択を主張
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日本の侵略戦争を正当化する「新しい歴史教科書をつくる会」のメンバーらが「つくる会」の歴史・公民教科書(扶桑社発行)の採択をめざし、東京都の区市町村議会に請願・陳情を提出、反対する日本共産党が賛成の自民、公明、民主各党と対決しています。子どもたちに、日本の戦争は「正しかった」という教科書を手渡していいのか―。いま政党の姿勢が問われます。
ことしは来年度からの中学校教科書の採択の年。採択地区ごとに八月末までに決めることになっています。東京では「つくる会」関係者が「我が国の歴史に対する愛情を深める」教科書の採択を求める請願・陳情を出し、議会を通じて各教育委員会に圧力をくわえようとしています。
十九日までの本紙調べで、教科書採択に関する請願・陳情が出されたのは、板橋区、世田谷区、豊島区、練馬区、港区、町田市(いずれも三月議会)と足立区、墨田区、西東京市、府中市(いずれも六月議会)でした。
板橋区、豊島区、町田市、西東京市、府中市では、自民、公明、民主の三党が、墨田区では自民、公明の両党が賛成し採択(委員会採択含む)。ほかは継続審議となりました(別表)。
日本共産党は社民党などとともに不採択を主張。継続審議になった議会もあります。
足立区では六月、教科書採択に関する陳情が出されました。陳情の趣旨には「近隣諸国からの干渉に影響されず、教育委員会への脅迫まがいの圧力に屈することなく適正な採択を」とあります。
審議のなかで日本共産党の針谷幹夫議員は、「陳情の趣旨から『つくる会』教科書が透けて見える」とのべ、日本の侵略戦争を美化する「つくる会」教科書を文科省の検定で通すことこそ問題だ、として不採択を主張。請願は継続審議になりました。八月の採択時期までに議会がないことから、事実上廃案となります。
港区では二月、「『学習指導要領』に最も適合した教科書」を採択するよう求めた請願が出されました。紹介議員は自民、公明、民主の三党。趣旨説明で請願代表者は、中学校教科書には「東郷元帥とか、乃木大将の名前は一切でてこない」「(日露戦争を)日本国民が心血注いで戦ったことが一つもでてこない」などと「つくる会」教科書と同じ立場からの主張を繰り返しました。
日本共産党の猪熊正一議員が「学習指導要領に最も適しているのはどの教科書か」と質問したのに対して、請願代表者は「それは『つくる会』の教科書」と本音を明らかにしました。請願は継続となり、六月議会でふたたび出すことはありませんでした。
日本共産党は住民の運動を呼びかけ、「つくる会」派につく自民・公明・民主各党を批判しています。
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