2005年6月21日(火)「しんぶん赤旗」
10月実施に批判続出
介護施設入所者のホテルコスト負担
社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長・大森彌千葉大教授)が二十日、都内で開かれました。介護保険法改悪のあとの介護報酬決定(来年四月)に向けた検討スケジュールが厚生労働省から提示されましたが、施設入所者へのホテルコスト負担(居住費、食費の全額自己負担)の十月実施について委員から批判意見が続出しました。
特別養護老人ホームなどの介護施設の介護報酬(サービス単価)は、居住費、食費を保険給付から外すため、報酬引き下げが検討されます。
これにたいし日本医師会の野中博常任理事は「十月から実施する根拠がわからない。費用だけで在宅サービスとの公平性というのは利用者をいじめるだけだ」と指摘。漆原彰・全国老人保健施設協会会長も「説明会を開いているが、十月からの徴収についてほとんどの利用者が知らない。説明を聞いてびっくりしている。なんらかの負担緩和、経過措置が必要だ」とのべました。
木下毅・日本療養病床協会会長は「現場で混乱がでる。介護保険発足のとき保険料徴収が半年延びたことがあるが、段階的実施が可能か」と表明。導入支持という田中滋慶大教授も「(負担の)金額の設定には納得しがたい。いきなり減価償却の計算から居住費を利用者からとるというのはロジック(論理)が弱い。無理やり説明している感じがある」とのべ、厚労省の強引さを強調しました。
十月実施を求めたのは日本経団連のみ。相部屋の居住費負担について、施設整備の減価償却費を除いて水光熱費のみとしていることにたいし「これでいいのか」とのべ、個室同様に減価償却費も保険外負担とする考え方を示しました。