2005年6月22日(水)「しんぶん赤旗」
郵便局100%設置の障害者対応ATM
民営化で「コスト次第」に
佐々木議員追及
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「障害者や高齢者にやさしく、利用しやすい金融サービスはどうなるのか」―日本共産党の佐々木憲昭議員は二十一日の衆院郵政特別委員会で、視覚障害者にとってかけがえのないサービスとなっている障害者対応の現金自動預払機(ATM)の設置状況について、郵便局では100%なのに、民間銀行では一割程度にとどまっている事実を指摘、その背景について政府をただしました。
伊藤達也金融担当相は、民間銀行の遅れの要因について「コストの問題」と答弁。これにたいし郵政公社で進んでいる理由について、麻生太郎総務相は「公(共性)の意識があるから」と答えました。
それでは民営化でどうなるのか――。
竹中平蔵郵政民営化担当相は、民営化後の郵貯銀行がこうした先進的なサービスを行うかどうかは「経営者の判断によるものだ」としたうえ、「(障害者対応の)サービスが後退することは想定されない」と無責任な願望をいうことしかできませんでした。
佐々木氏は「郵便局がこうしたサービスをしてきたのは、『福祉の増進』を目的にかかげる郵便貯金法で、金融のユニバーサルサービス(全国あまねく、いつでも、公平に提供される、生活を支えるサービス)が義務付けられているからだ。それをはずし、利益優先の民間銀行になったら、せっかく進んでいる成果も崩れてしまう。障害者や高齢者が使いにくくなるような民営化には絶対反対だ」と強調しました。
視覚障害者向けATM
視覚障害のある人を対象に、郵便貯金業務についての取り扱い内容の通知やATMの利用を点字などでおこなうもの。郵便局では、すべてのATM(二万六千四百八十三台)に機能が備わっており、残高が点字で浮き上がる最新の操作機の導入や車イス利用者や高齢者に考慮した設計も進められています。民間金融機関は、コスト削減のために一九九八年からの五年間で国内店舗数を千六百五十も減らし、ATMも障害者対応のまったくない機種でコンビニに肩がわりさせています。