2005年6月22日(水)「しんぶん赤旗」

主張

日韓首脳会談

靖国参拝やめ、反省を行動で


 小泉首相と盧武鉉(ノムヒョン)大統領の日韓首脳会談(二十日)は、これまでと比べ緊張した状況のもとに行われました。第二次の歴史共同研究や、日本側での新たな追悼施設の検討などを事前の調整で確認し、二時間の会談の大半を歴史問題にあてました。この問題の解決が、日韓関係改善のカギになっているからです。

 しかし、小泉首相は、焦点の靖国神社の問題で参拝をやめるとはいわず、両国ばかりかアジア地域に失望と懸念を広げています。

「不戦の誓い」いうなら

 小泉首相は、会談についての共同発表で、「韓国国民の過去をめぐる心情を重く受けとめ」「反省すべきは反省し」「未来に向けて率直な対話」が重要だとのべました。

 日本側発表によると、盧大統領は、靖国問題が「日韓関係の歴史問題の核心」だと語り、小泉首相は、「不戦の誓いから参拝した」と応じました。

 靖国神社は過去の侵略戦争と植民地支配を正当化しており、首相の言明はまったく筋が通りません。

 靖国神社は、過去の天皇制政府の侵略戦争と植民地支配を「自存自衛」のためだったと正当化する歴史観、戦争観を宣伝しています。「英霊の武勲の顕彰」を使命とする靖国神社は、戦争のA級戦犯を「ぬれぎぬを着せられ」た「昭和殉難者」だといい、植民地支配と侵略への反省を表明した「村山首相談話」(一九九五年)を「嘘(うそ)と誤り」と攻撃しています。

 小泉首相の靖国神社参拝は、日本の政府として、侵略戦争を正当化する歴史観を認めるというにとどまらず、政府の公式見解さえ自己否定することになります。

 韓国側発表によると、盧大統領は会談で靖国神社について、「過去の戦争を誇り、栄光のように展示していると聞いている」と、靖国神社の実態にそくして問題を提起。「首相が参拝についてどう説明しようと、わが国民には(侵略の)歴史を正当化するものと理解されており、それが客観的な現実だ」と言明しました。

 この「現実」に、どう誠実にたちむかうのかが、小泉首相に問われています。

 「不戦の誓い」は、過去の誤った戦争への明確な反省を踏まえたものでなければなりません。国政の最高責任者として、侵略戦争を正当化する靖国神社を参拝しながら、「心ならずも戦争に赴かなければならなかった多くの犠牲者」「戦没者にたいする敬意と感謝」をあらわすなどといっても、行動の伴わない言葉のむなしさを印象づけるだけです。それは、国家によって非業の死を強制された人々を冒涜(ぼうとく)するものです。まして日本の植民地にされ、戦時体制下で強制連行され、侵略戦争に日本軍兵士としてかりだされ、犠牲を強いられた韓国の人々にとって、承服できることではありません。

アジアの平和、協力に

 日本の首相が靖国問題で、このような言動をくりかえすなら、日韓関係の根幹を揺るがせ、アジア諸国の信頼を損なって、日本外交の手詰まりをいっそうひどくするでしょう。

 日韓両国と両国民の間に「信頼と友好」の関係を築くためには、小泉首相が「未来に向けて率直な対話」を続けるというだけでなく、靖国参拝をやめ、「不戦の誓い」を行動で示さなければなりません。そうすることは、日本が韓国とアジアに平和と協力の関係を築いていくために避けられない課題です。


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