2005年6月23日(木)「しんぶん赤旗」
省エネ達成率過大に表示
電気冷蔵庫
削減温暖化ガス 数値上積み
国が表示を義務づけている電気冷蔵庫の「省エネ基準達成率」の数値が、実態を反映していないことが明らかになりました。
すでに家電メーカーは本紙の指摘に、省エネ達成率のもとになる消費電力量が過小に表示されていることを認めています。
省エネ基準達成率は、地球温暖化ガス削減のため、電気冷蔵庫では30%の消費電力削減を目標にし、製品・区分ごとに目標値を定めています。目標値をどの程度達成しているかを%で、カタログ、製品に表示します。とくに実態との乖離(かいり)が大きいのが、各家電メーカー主力機種の高機能・多ドアタイプ。年間消費電力量を実際の数分の一にして計算しており、達成率の数値が大きく上積みされています。
年間消費電力量は、経済産業大臣が定める「JIS C 9801規格」で測定するもので、九九年度から採用されています。高機能・多ドアタイプの場合、大きく電力を消費する凍結防止などのヒーター類のスイッチを切った状態で測っていました。経済産業省資源エネルギー庁の省エネルギー対策課は、「想定していなかった付加機能によって、やむを得ないが、JIS基準が実際と違ってきているものがあるとは認識している」といいます。
メーカー側の実験結果でも、高機能・多ドアタイプの表示消費電力量は、家庭で実際に使用したときの四〜三分の一になっています。
大型の最新機種の冷蔵庫は軒なみ省エネ基準達成率は200〜300%近くなどの高い数値で表示されています。
全国各地では、地方自治体やNPO、環境団体などが参加して、「全国省エネラベル協議会」が設けられ、省エネ製品の情報を提供しています。東京都では、条例で「東京都省エネラベリング制度」をつくりました。エアコンと冷蔵庫は、七月一日から、「省エネ基準達成率」にもとづきランク付けし、販売価格と電気代(目安)などをラベル表示することが販売店に義務づけられます。
この実施を目前にして東京都は、「カタログで表示している年間消費電力量が実際と差があることは聞いている。実態に近づくのがのぞましいし、消費者に誤解を与えないようなJIS基準にしてほしい」(東京都環境局都市地球環境部の温暖化対策担当)といいます。
信頼できる測定方法を
気候ネットワーク代表の浅岡美恵さん(弁護士)の話 いろんな機能がついた電気冷蔵庫の場合、JIS規格で表示される「年間消費電力量」が実際に使用した時と大きな差があるとすれば、問題だと思います。機種ごとに相対的に効率の良さを比べられるだけでなく、通常の使用で、実際どれくらいエネルギーの節約になり、CO2削減に役立つかがわかることが消費者の選択に重要です。
私たちも「省エネラベル」に取り組んでいますが、目標達成計画の「トップランナーによる機器の効率改善」による削減量にも影響しかねないため、早く信頼できる測定方法と数値が明らかにされる必要があります。