2005年6月28日(火)「しんぶん赤旗」
諫早干拓差し止め
最高裁で審理へ
福岡高裁 漁民の抗告許可
国営諫早湾干拓事業(長崎県)をめぐって、工事差し止めを取り消した福岡高裁決定を不服として、漁民側が申し立てた抗告に対し、福岡高裁(中山弘幸裁判長)は二十七日、抗告を許可しました。最高裁の審理がおこなわれることになりました。
よみがえれ有明訴訟弁護団の堀良一事務局長は、「最高裁での審理も始まることが決まり、因果関係について公害等調整委員会の原因裁定の結論も控えていて、再び工事差し止めが認められる可能性が開かれた」とのべました。
漁民側は、同干拓事業と漁業被害との因果関係について高裁決定が「定量的関係性に言及し、自然科学的証明を要求したこと」や「衡平の理念に反した証明の負担を要求したこと」は最高裁判例違反で、漁業被害の損害認定も法解釈を誤っていると主張していました。中山裁判長は、損害認定の法解釈の誤りを認めなかったものの、因果関係の判断に「最高裁判所の判例と相反する判断がある」と認めました。
佐賀地裁は昨年八月、漁民側の訴えを認め、工事を差し止める仮処分決定を出しましたが、福岡高裁はことし五月、因果関係について「一般より高い証明が必要で、定量的な証明が不十分」として、その決定を取り消しました。