2005年6月29日(水)「しんぶん赤旗」
?けいざい?
サラリーマンは大増税だって?
共産党以外は増税派なんだ
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おやまた、熊さんと八っつぁんのにぎやかな問答がはじまりましたな。ちょっと耳を傾けてみますか。
熊 てぇへんだ、てぇへんだ。
八 なんだ、また熊か。こんどはどうした。
熊 サラリーマンがべらぼうに増税になるっていうじゃないか。
八 熊もサラリーマンだったのか。
熊 給与をもらっていたら、みんな関係あるんだろ。
八 違いねぇ。年収が五百万円で、四人家族(妻は専業主婦、子ども二人、うち一人は十六歳から二十二歳)だったとしねぇ。定率減税が廃止され、給与所得控除が半減され、扶養控除と配偶者控除がなくなったとすると年四十二万円の増税だ。
熊 一カ月分の給料がふっとんじまうな。いや、手取りだともっとか。
八 なかでも、給与所得控除はでかい。半減した場合、所得税で三・四兆円、住民税で一・七兆円、あわせて五・一兆円の増税だ。
熊 消費税は1%で二・五兆円だったよな。するってぇと消費税2%分か。
八 扶養控除と配偶者控除をなくすと、三・四兆円の増税。定率減税の廃止で三・三兆円の増税。全部あわせて十一・八兆円の増税だ。消費税4%分をはるかに超えちまう。民間のシンクタンクによると、国内総生産(GDP)を0・9%押し下げるという。
熊 消費税も引き上げるっていうじゃないか。
八 いまの5%を10%にしたら、十二・五兆円もの大増税だ。
■大もうけは
熊 頭が痛くなってきた。どこのどいつなんだ。サラリーマン増税を言い出したのは。
八 政府税制調査会といってな、首相の諮問機関だ。石弘光会長は「国を支えるためには、就業者の八割を占めるサラリーマンの方々にがんばってもらうしかない」といっている。
熊 納得いかねぇな。大企業は大もうけしている。だけど、サラリーマンは数は多いが、大もうけしているわけじゃない。むしろ、赤字の家庭が多い。
八 たしかに。トヨタ自動車は二期連続で一兆円を超す純利益をあげている。三分の一の大企業が過去最高の利益(経常利益)を稼いだという。だけど、労働者の所得は減り続けているからな。
熊 だったら、大もうけをしている大企業からもっと税金をとったらいいじゃねえか。
八 石会長は、「企業をいじめると逃げちゃう。(海)外へ(という議論もある)」という。事実とも違うがな。
熊 なにかい。サラリーマンは海外に逃げる心配がないから、税金を増やすというわけかい。
八 大企業などが納める法人税は減税に次ぐ減税でいまや30%(基本税率)だ。法人税収は消費税収と同じぐらいになってしまったのに、財界は法人課税をもっと下げろという。所得税収が減ってきたのも、景気のせいもあるが、金持ち減税(最高税率引き下げ)の影響が大きい。
熊 なんだよ。増税は庶民だけか。
■民主も増税派
八 問題は、これが政府税調だけの考えじゃないということだ。
熊 どういうことだ。
八 谷垣禎一財務相は給与所得控除の水準を引き下げるべきだと国会答弁している。消費税についても、自民党、公明党が与党の小泉内閣は、つい最近決めた「骨太方針」で、ここ一年のうちに消費税増税の具体化に着手することを打ち出した。
熊 民主党はどうなんでい。
八 民主党は「サラリーマン大増税対策本部」をつくったらしい。だけどよ、この党は昨年の参院選の政策で「人的控除の見直し」をかかげていた。実際、ことし民主党がつくった「予算案」では扶養控除、配偶者控除、配偶者特別控除を廃止する増税の具体的提案までしたんだから驚きだ。なんだかんだいっても、政府税調と同じ方向だよ。
熊 困ったもんだ。日本共産党以外は、みんな増税派なのかい。
八 大企業にきっぱりものがいえるかどうかの姿勢の差だな。大企業や大金持ちから、能力に応じて負担をしてもらおうというのは、しごく当たり前のことなんだがな。