2005年6月29日(水)「しんぶん赤旗」
米英の戦争犯罪断定
イラク世界民衆法廷が閉幕
二十三日からトルコのイスタンブールで開かれていた「イラク世界民衆法廷」は二十七日、米英両国政府が引き起こしたイラク戦争を糾弾し、ブッシュ米大統領とブレア英首相の戦争犯罪を断定、多国籍軍のイラクからの即時撤退とイラクが受けた損害に対する賠償を求める声明を発表して閉幕しました。
■撤兵と損害賠償要求
イスタンブールからの報道によると、声明は「イラクへの攻撃は正義と自由、われわれの安全、われわれの未来、われわれすべてに対する攻撃だ」と、イラク戦争を糾弾。この戦争を「歴史上最も不正義で不道徳な戦争」の一つとした上で、「米英による二十七カ月に及ぶ(イラク)占領はイラクの国家と社会の破壊と荒廃に導いた」としています。
法廷は、米英の侵略戦争と占領に協力した「有志連合」諸国や、軍事基地・領空の使用、その他の後方支援で協力した諸国の政府、戦争をめぐる虚偽の報道を広めたメディアも告発しています。 さらに、この戦争によって利益を得たハリバートン(石油関連)、ベクテル(土木・建設)、CACIインターナショナル(軍事請負会社)など、米系企業の世界各地の事務所の閉鎖や消費者によるボイコットを呼びかけています。
法廷には、米国のリチャード・フォーク教授(国際法)、国連人権高等弁務官事務所顧問のクリスチン・チンキン氏(英国際法学者)ら世界の著名な法律家や人権活動家五十四氏が参加しました。
同法廷は、二〇〇三年三月のイラク戦争開始とほぼ同時に戦争に反対する知識人や市民が始めたもので、この二年間、日本での「イラク国際戦犯民衆法廷」を含め、世界十三カ国でイラク戦争の戦争犯罪を裁く「公判」や「公聴会」が行われてきました。
■民衆法廷による米英首脳の罪状
―国連憲章とニュルンベルク諸原則に違反して侵略戦争の最高の犯罪を計画、準備、実行した
―イラクの民間人と民間施設を攻撃目標にした
―不均衡な(大量の)兵力と無差別の兵器を使用した
―軍事行動中とその後の占領中、民間人の生命を守る基準を守らなかった
―平和的手段で訴えた抗議者に暴力をふるい、死に至らしめた
―容疑や裁判なしに、集団的・個別的制裁を加えた
―イラク兵や民間人に拷問や非人道的虐待を加えた
―不法に侵略し、占領した国の法律を書き換えた
―意図的に環境を破壊した
―イラクの女性の地位を極端なほどまでに低める条件をつくりだした
―イラクに存在する人類の豊かな考古学的・文化遺産を守らなかった
―イラクのメディアの検閲を含め、情報の権利の行使を妨害した
―拷問や不法拘束を認めさせるため、国際法に違反して拷問の定義を変えた