2005年6月30日(木)「しんぶん赤旗」
ネオナチとは何ですか?
〈問い〉 靖国問題とかかわって、日本における「ネオナチ」的存在といわれますが、そもそもネオナチとはどういうものですか?(広島・一読者)
〈答え〉 ドイツでは1933年〜1945年にかけてナチス(国家社会主義ドイツ労働者党)が独裁を敷き、ユダヤ人大量虐殺や侵略戦争を推し進めました。この歴史を正当化する勢力がネオ(新)ナチです。
「社会主義」を党名に掲げたのは国民の味方であることを装うためでした。総選挙で第一党になり、33年1月に党首のヒトラーが首相に就任すると、共産党や社会民主党議員の議席をはく奪して、独裁権力を握りました。39年にはポーランドに侵攻し、第2次世界大戦を始めました。アウシュビッツなどの強制収容所で殺されたユダヤ人は約600万人とみられています。
戦後ドイツはナチスの行為を反省しました。
西独の憲法として制定された基本法(90年の東西統一後はドイツ全体の憲法)は「欧州の一員」「世界平和」「人間の尊厳」を掲げ、侵略戦争を違法とし、この秩序を破壊しようとする団体の結成や宣伝活動は法で禁止されました。
西独で元ナチス幹部を中心に「帝国の再興」を目指して結成された「社会主義帝国党」は52年に憲法裁判所の判決で禁止されました。
ネオナチや極右政党などを監視している役所、憲法擁護庁の04年版報告によると、ネオナチは87団体、3800人、極右政党は3党(共和党、ドイツ国民連合、国家民主党)、2万3800人、極右組織全体では168団体、4万1900人です。
同庁は、ナチスの思想を公然と掲げるネオナチと一応合法政党である極右政党を区別していますが、人種差別、ナチスの犯罪の正当化という点は共通しているとしています。
例えば国家民主党はナチスの体制を意味する「民族共同体」の復興を方針にし、「ナチズムは民族のアイデンティティーを実現した」(フォークト党首)などと主張しています。(俊)
〔2005・6・30(木)〕