2005年6月30日(木)「しんぶん赤旗」

耐え難いサラリーマン増税

もう削れない生活費


 政府税制調査会が示したサラリーマン増税は、家計に重い負担を押しつけることになります。二家族の例をみました。(山田英明)


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■家計簿は告発する

 夫がIT(情報技術)関係の会社に勤務する森マリアさん(48)=福岡県宗像市在住、専業主婦=は「庶民の生活を増税でいじめるなんて許せない」と憤ります。

 夫(51)の年収は約五百万円。森さんは夫、息子(15)、母親(76)の四人暮らしです。

 早朝から深夜零時前後まで毎日働く夫。帰宅が遅い日は午前二時、三時になることもあります。「夫の仕事は、本当に体力勝負。倒れられたら困るから、食費だけは削れないんです」とマリアさん。月々の生活費は十六万円ほどかかります。

■森さんの家族の場合(会社員の夫と専業主婦の妻、子ども、妻の母親)


 (年収約500万円)
定率減税廃止で3.6万円
給与所得控除半減、配偶者控除と扶養控除の廃止で38万円
増税額の合計約41.6万円

■近藤さんの家族の場合(共働き、会社員の息子)

猛さんと妻
 (それぞれ年収約700万円)
定率減税廃止で13.5万円、給与所得控除半減で28.5万円
合計42万
息子
 (年収約300万円)
定率減税廃止で3.4万円、給与所得控除半減で6.5万円
合計9.9万円
3人の増税額の合計約94万円

 今でも「洋服は買わず、本は図書館で借りて読み、夫は駅まで車を使わず自転車で通勤しています」。「子どもは来年受験です。どうしても公立高校に入ってもらわないと…」

 仮に給与所得控除が半減され、扶養控除が廃止された場合、森さんの家計を約四十一万六千円の所得税・住民税増税が襲います。

 「すでに削れるところは削っています。家族で遊びにいったりもできない。食費や子どもの教育費などは削りたくてももう削れません」

 持病を抱えるマリアさんは、万が一の時のために月五万円ずつ貯金してきました。「もう貯金できない。ここしか削れない」と語っています。

 「えっ、そんなに」。近藤猛さん(52)=愛知県尾張旭市在住、仮名=は驚きのあまり言葉を失いました。近藤さんの家計には年約百万円もの増税が押し付けられます。

 愛知県内の大手電機メーカーに勤務する近藤さん。共働きの妻(54)と会社員の息子(25)の三人暮らしです。猛さんと妻の年収はそれぞれ約七百万円、息子の年収は約三百万円が家計の収入となります。

 定率減税廃止とともに、給与所得控除が半減されると仮定すると、猛さんと妻の所得税・住民税の増税額はそれぞれ年約四十二万円、息子さんの増税額は同約十万円に達します。家族三人の増税額を合わせると年約九十四万円。この上、消費税が10%に増税されると、増税額は年百万円を超えてしまいます。

 今でさえ自宅のローン五万円や食費、光熱費などの生活費、独立している子どもへの援助などを含めると一カ月の支出は三十万円を超えています。だからその上に課せられる増税は、「ちょっとひどい」。

 「私の増税分だけでも、一カ月分の給料が飛んで行っちゃうんだよね。とんでもない数字だよ」(猛さん)と怒りました。


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